カルボキシルエステラーゼの分子多様性と種差
近年, バイオアベイラビリティーの改善や副作用の軽減を目的に多くのプロドラッグが合成され, 臨床で使用されている. これらのプロドラッグの中で, エステルおよびアミド型プロドラッグの代謝活性化の過程においてもっとも重要な役割を果たしている酵素が, カルボキシルエステラーゼ(CES)である. 本酵素は, 活性中心にセリン残基を有するセリン水解酵素のスーパーファミリーに属しており, エステル, アミドやチオエステル結合を含む化合物を効率よく加水分解することから, 上述したプロドラッグのみならず多くの医薬品, 殺虫剤, 環境化学物質や食品添加物等の生体外異物の解毒や代謝活性化に関与していることが明ら...
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Veröffentlicht in: | 薬物動態 1998-08, Vol.13 (4), p.405-417 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近年, バイオアベイラビリティーの改善や副作用の軽減を目的に多くのプロドラッグが合成され, 臨床で使用されている. これらのプロドラッグの中で, エステルおよびアミド型プロドラッグの代謝活性化の過程においてもっとも重要な役割を果たしている酵素が, カルボキシルエステラーゼ(CES)である. 本酵素は, 活性中心にセリン残基を有するセリン水解酵素のスーパーファミリーに属しており, エステル, アミドやチオエステル結合を含む化合物を効率よく加水分解することから, 上述したプロドラッグのみならず多くの医薬品, 殺虫剤, 環境化学物質や食品添加物等の生体外異物の解毒や代謝活性化に関与していることが明らかになっている. また, 本酵素は生体内の長鎖アシル化合物の代謝にも関与していることから, 生体外異物のみならず生体内の脂質代謝においても重要な役割を果たしているものと考えられている. 著者は大学院の博士課程でCESと出会ってから今日に至るまで, 本酵素の分子構造, 機能的役割, 分子進化および発現調節機構に着目して研究を続けてきた. 本稿では, 著者のこれまで行ってきた研究を中心に, CESの分子多様性と哺乳動物種属間の差異について述べるとともに, 最近我々の研究室で得られた, ヒトCESの発現調節機構の個人差に関しても紙面の許すかぎり紹介したい. |
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ISSN: | 0916-1139 |