Sparfloxacinの腸管吸収

新しいキノロン系抗菌剤sparfloxacin(SPFX)の消化管での吸収挙動を,ラットを用いてin situループ法およびin vitro反転腸管法で検討し,以下の結果を得た. SPFXは胃を除く消化管全域(十二指腸,空腸,回腸,結腸)から良好に吸収された.空腸ループからの15分間の吸収率は,投与量が0.1~1μmolでは約50%であったが,投与量の増加につれて漸減し,10~30μmolでは約15%となり,飽和性が認められた.ジペブチド,トリペプチドおよびcyclacillinは,用量依存的にSPFXの吸収を阻害し,その程度はいずれも約40%であったが,アミノ酸は影響を及ぼさなかった.空腸粘...

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Veröffentlicht in:薬物動態 1991, Vol.6(1), pp.53-59
Hauptverfasser: 山口, 俊和, 横川, 真喜子, 関根, 豊, 橋本, 昌久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:新しいキノロン系抗菌剤sparfloxacin(SPFX)の消化管での吸収挙動を,ラットを用いてin situループ法およびin vitro反転腸管法で検討し,以下の結果を得た. SPFXは胃を除く消化管全域(十二指腸,空腸,回腸,結腸)から良好に吸収された.空腸ループからの15分間の吸収率は,投与量が0.1~1μmolでは約50%であったが,投与量の増加につれて漸減し,10~30μmolでは約15%となり,飽和性が認められた.ジペブチド,トリペプチドおよびcyclacillinは,用量依存的にSPFXの吸収を阻害し,その程度はいずれも約40%であったが,アミノ酸は影響を及ぼさなかった.空腸粘膜へのSPFXのin vitroでの取り込みは,インキュベーション温度の低下により減少した.また,チオール基修飾剤,ジペブチド,トリペブチド,amino-β-lactam抗生物質により阻害された.GlycylglycineはSPFXの取り込みを競合的に阻害した.これらの結果は,SPFXがいわゆるジペブチド担体輸送系により吸収されることを示唆している.SPFXの約40%がこの担体輸送系で吸収されていると考えられ,このため本薬経口投与後の吸収が良好である.(試験実施期間:昭和63年10月~平成1年8月)
ISSN:0916-1139
DOI:10.2133/dmpk.6.53