経口脂溶性抗リウマチ剤オーラノフィンの体内及び細胞内動態

[目的]慢性関節リウマチに有効とされる金剤には, 水溶性の金チオグルコースや金チオリンゴ酸錯体などが知られているが, これらの副作用を軽滅する目的で1972年に, S-Au-P結合をもつ経口投与が可能な脂溶性金剤オーラノフィンが開発された(図1). 金剤は, 臓器組織へ蓄積することはよく知られているが, 水溶性及び脂溶性金剤の体内分布を比較検討した研究はほとんどみられない. そこで, 我々は, 金を指標にして, これら金剤の体内動態について検討をおこなった. [方法]ラットにオーラノフィンまたは金チオリンゴ酸を静脈内又は経口的に投与し, 臓器摘出及び肝と腎臓の細胞下画分を調製し, 凍結乾燥した...

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Veröffentlicht in:薬物動態 1987, Vol.2(4), pp.450-451
Hauptverfasser: 桜井, 弘, 小山, 睦夫, 高田, 実弥, 野口, 英世
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]慢性関節リウマチに有効とされる金剤には, 水溶性の金チオグルコースや金チオリンゴ酸錯体などが知られているが, これらの副作用を軽滅する目的で1972年に, S-Au-P結合をもつ経口投与が可能な脂溶性金剤オーラノフィンが開発された(図1). 金剤は, 臓器組織へ蓄積することはよく知られているが, 水溶性及び脂溶性金剤の体内分布を比較検討した研究はほとんどみられない. そこで, 我々は, 金を指標にして, これら金剤の体内動態について検討をおこなった. [方法]ラットにオーラノフィンまたは金チオリンゴ酸を静脈内又は経口的に投与し, 臓器摘出及び肝と腎臓の細胞下画分を調製し, 凍結乾燥した. 試料は京都大学原子炉実験所で放射化分析法をおこない, 金を定量をした. [結果と考察]金濃度は, 各臓器の乾燥重量, 湿重量及び臓器当りについて求めた. 図2は, 臓器当りの金濃度の投与後の変化を示した結果である. 金は, オーラノフィンでは血液>肝>腎の順に, 金チオリンゴ酸では血液>腎>肝の順に分布し, 後者は高い金の体内蓄積を示した. 投与量に対する検討した臓器への金の取り込み率は, 24時間後オーラノフィンでは約20%, 金チオリンゴ酸では約35%であった.
ISSN:0916-1139
DOI:10.2133/dmpk.2.450