QFMが遺したもの

「QFMが遺したもの」 QFMとはultrasonic quantitative blood flow measurement systemの略である. 私の恩師である東京慈恵会医科大学第四内科教授の吉村正蔵先生が名付けた超音波機器の名称である. 私が第四内科の大学院で研究を始めたときに第四内科では既に研究は始まっていた. 当時, 体表から血流量を測定する際に, 血流に対する超音波ビームの入射角が分からないと絶対値計測が出来なかった. そこで慶應義塾大学から慈恵のME研究室に来られた古幡博先生(当学会第19回会長)が, 血管内を流れる血流と超音波ビームの入射角度に依存せずに血管内の血流速度の絶対値計測を行う方法を考案し1978年に発表した(医用電子と生体工学1978; 16: 264-268). 血流に対して60度で送った超音波ドプラの散乱超音波を一定の角度を付けた2つの振動子で受け, その2つの信号から計算で血流速度を求める方法である.