開頭術中超音波診断事始め

「術中超音波診断開発のいきさつ」脳神経外科医は開頭手術に際して自分の指先で露出した脳表を撫でて脳皮質下に潜む病変の局在や性状を探り当てようとする. このときの指先は単なる指ではなくセンサーの役割を果たしていると言えよう. 1979年夏, 名古屋保健衛生大(現:藤田学園大)の片田医師が“減圧開頭術後の患者で頭皮上に超音波プローブを置くことによって頭蓋内のBモード超音波画像を得た”という話を人づてに聞いた. そのとき, “いっそのこと超音波プローブを手術中に直接脳表にあててみてはどうだろうか, 脳神経外科医の指のかわりになるのではないか”と思いついた. 当時, 脳に限らず超音波診断は順天堂大学をは...

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Veröffentlicht in:Neurosonology 2007-12, Vol.20 (2/3), p.136-138
1. Verfasser: 益澤秀明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「術中超音波診断開発のいきさつ」脳神経外科医は開頭手術に際して自分の指先で露出した脳表を撫でて脳皮質下に潜む病変の局在や性状を探り当てようとする. このときの指先は単なる指ではなくセンサーの役割を果たしていると言えよう. 1979年夏, 名古屋保健衛生大(現:藤田学園大)の片田医師が“減圧開頭術後の患者で頭皮上に超音波プローブを置くことによって頭蓋内のBモード超音波画像を得た”という話を人づてに聞いた. そのとき, “いっそのこと超音波プローブを手術中に直接脳表にあててみてはどうだろうか, 脳神経外科医の指のかわりになるのではないか”と思いついた. 当時, 脳に限らず超音波診断は順天堂大学をはじめとする日本勢がリードしていたが, それらの専門家には思いもつかなかった発想のようであった. 超音波診断の特質は無侵襲なことであり, 侵襲的な操作と組み合わせることはその特質から外れるとされていたようである. 著者は頭皮上から第3脳室のシフトを観察するAモード診断装置を触っていたが超音波診断には素人同然であり, Bモード超音波診断には疎かった.
ISSN:0917-074X