衝撃波脳塞栓症血行再建術の基礎研究

緒言 脳塞栓症は, 基本的には心臓からの血流によって運ばれてきた血栓あるいはその他の異物が脳動脈を突然閉塞させた結果発生する. 閉塞の発生しやすい箇所は中大脳動脈のinferior branchが多く, いったん閉塞すると, この動脈を支配する灌流域が大きいために, 広範囲な虚血領域が形成される. 中大脳動脈の血行再建後の神経症状の改善は, 内頚動脈分岐部や内頚動脈起始部の塞栓症の血行再建の場合と比べ良好であり, 臨床的に特に関心が払われる. 急性期血行再建術に, 血管内カテーテル法を基礎にした超選択的血栓溶解術があるが5), 技術的に複雑で時間もかかり, 手技にともなう合併症もありうる. 脳...

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Veröffentlicht in:Neurosonology 1997-05, Vol.10 (2), p.79-83
Hauptverfasser: 小玉哲也, 高山和喜, 永易伸生, 上之原広司, 吉田昌弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言 脳塞栓症は, 基本的には心臓からの血流によって運ばれてきた血栓あるいはその他の異物が脳動脈を突然閉塞させた結果発生する. 閉塞の発生しやすい箇所は中大脳動脈のinferior branchが多く, いったん閉塞すると, この動脈を支配する灌流域が大きいために, 広範囲な虚血領域が形成される. 中大脳動脈の血行再建後の神経症状の改善は, 内頚動脈分岐部や内頚動脈起始部の塞栓症の血行再建の場合と比べ良好であり, 臨床的に特に関心が払われる. 急性期血行再建術に, 血管内カテーテル法を基礎にした超選択的血栓溶解術があるが5), 技術的に複雑で時間もかかり, 手技にともなう合併症もありうる. 脳壊死の開始時刻は血行停止後, 数時間と報告され8), 安全で, 短時間の血行再建術の確立が急務である. 東北大学流体科学研究所附属衝撃波工学研究センターでは大腿動脈経由で脳動脈閉塞部, 特に中大脳動脈の閉塞部にガス気泡と衝撃波源を導入し, 衝撃波干渉後の気泡崩壊で得られる液体ジェットの水撃圧を活用して, 血栓溶解剤で容易に溶けない血栓を短時間に経皮, 経管的に破砕する血行再建術の開発を目指している9).
ISSN:0917-074X