味覚障害と亜鉛欠乏

I. 増加する味覚障害患者数 2003年の調査によると, 耳鼻咽喉科を受診する味覚障害患者数は年間24万人[1]であり, 味覚障害は大変多い感覚器疾患のひとつといえる. また, その数は1990年の調査時の年間14万人から約1.8倍に増加している. この顕著な症例数の増加の理由のひとつに, わが国におけるこの10年余りの高齢者の極端な増加があげられる. 1990年から2000年における65歳以上のいわゆる高齢者の数は, 1990年に約1千500万人であったものが, 2000年には2千200万人へと700万人増加し, 1.5倍となっている. この高齢者の増加傾向は今後も続くため, 味覚障害例の増...

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Veröffentlicht in:BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS 2007, Vol.18(1), pp.10-14
Hauptverfasser: 池田, 稔, 生井, 明浩
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:I. 増加する味覚障害患者数 2003年の調査によると, 耳鼻咽喉科を受診する味覚障害患者数は年間24万人[1]であり, 味覚障害は大変多い感覚器疾患のひとつといえる. また, その数は1990年の調査時の年間14万人から約1.8倍に増加している. この顕著な症例数の増加の理由のひとつに, わが国におけるこの10年余りの高齢者の極端な増加があげられる. 1990年から2000年における65歳以上のいわゆる高齢者の数は, 1990年に約1千500万人であったものが, 2000年には2千200万人へと700万人増加し, 1.5倍となっている. この高齢者の増加傾向は今後も続くため, 味覚障害例の増加傾向は今後も続くものと予想される. 1990年の調査時には, 味覚障害の治療にはビタミン剤と硫酸亜鉛の内服が主流であった. 硫酸亜鉛は自家製薬として, カプセルに詰めて投与するという手間がかかっていた. しかし, 現在は普通に医師が処方することが可能な薬剤(ポラブレジンク)が市販され, 味覚障害の治療が容易に行えるように改善された. また, 受診患者数の増加の影響か, あるいは治療が容易となってきたためか, 医師の味覚障害に対する興味もこのところ増大しており, 味覚専門外来を設置している大学病院の耳鼻咽喉科の数が増加している[1].
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.18.10