血清セルロプラスミン値が正常値を示したため診断確定に苦慮したWilson病の幼児例
【はじめに】Wilson病の臨床症状は肝硬変, 錐体外路症状およびKayser-Fleischer角膜輪を三主徴とする. 検査所見では血清セルロプラスミン(Cp)値, 血清銅値の低下および尿中銅排泄量の増加が特徴的である. 特に血清Cp値の低下は本症の診断の契機となりうる. しかし, まれではあるが血清Cp値が正常を示す症例も存在する. 今回我々は血清Cp値が正常値を示したため診断確定に苦慮したWilson病の幼児例を経験したので報告する. 【症例】5歳女児. 4歳10ケ月時急性胃腸炎の罹患時に血液検査を行ったところ, 肝機能障害を指摘された. ウィルス抗体価など種々の検査を施行されたが, 慢...
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Zusammenfassung: | 【はじめに】Wilson病の臨床症状は肝硬変, 錐体外路症状およびKayser-Fleischer角膜輪を三主徴とする. 検査所見では血清セルロプラスミン(Cp)値, 血清銅値の低下および尿中銅排泄量の増加が特徴的である. 特に血清Cp値の低下は本症の診断の契機となりうる. しかし, まれではあるが血清Cp値が正常を示す症例も存在する. 今回我々は血清Cp値が正常値を示したため診断確定に苦慮したWilson病の幼児例を経験したので報告する. 【症例】5歳女児. 4歳10ケ月時急性胃腸炎の罹患時に血液検査を行ったところ, 肝機能障害を指摘された. ウィルス抗体価など種々の検査を施行されたが, 慢性肝炎をきたす疾患の診断には至らなかった. 5歳4ヶ月時血清Cp値は15.1mg/dLと軽度低下し, 尿中銅排泄量0.295μ9/mg creatinineと軽度の増加を認めたため, Wilson病を疑われて当科に紹介入院となった. 入院時の検査所見ではAST 66 IU/L, ALT 158 IU/Lと軽度の肝機能障害を認めた. 入院中の血清Cp値は21.6~27.6mg/dLと正常を示し, 尿中銅排泄量は25~96μ9/dLと若干の上昇を認めるのみであった. Wilson病の診断を確定するためにATP7B遺伝子の解析および肝銅含量の測定を行った. |
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ISSN: | 0916-717X |