序文

微量元素の生体影響に関する研究は, その毒性と病態に注目した研究と, 必須因子としての生体機能調節と栄養生理的役割に関係した研究が行われてきた. 亜鉛をはじめとする微量元素の欠乏や過剰摂取が生体機能に影響を与えることはよく知られているものの, 特定の臓器細胞の機能について微量元素の作用を細胞と分子のレベルで説明できる現象はいまだ僅かである. また, 細胞と分子のレベルで解明された現象であっても, 他の細胞の機能と統合された生体内環境を想定した微量元素の役割と作用については十分な理解が得られているとは言えない. 近年, 微量元素の欠乏による免疫機能の修飾や, 微量元素による骨代謝の修飾等に関する...

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Veröffentlicht in:BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS 2004, Vol.15 (1), p.1-1
Hauptverfasser: 伊藤徳夫, 山口正義
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:微量元素の生体影響に関する研究は, その毒性と病態に注目した研究と, 必須因子としての生体機能調節と栄養生理的役割に関係した研究が行われてきた. 亜鉛をはじめとする微量元素の欠乏や過剰摂取が生体機能に影響を与えることはよく知られているものの, 特定の臓器細胞の機能について微量元素の作用を細胞と分子のレベルで説明できる現象はいまだ僅かである. また, 細胞と分子のレベルで解明された現象であっても, 他の細胞の機能と統合された生体内環境を想定した微量元素の役割と作用については十分な理解が得られているとは言えない. 近年, 微量元素の欠乏による免疫機能の修飾や, 微量元素による骨代謝の修飾等に関する知見が集積しつつある. このような背景を考慮し, 微量元素による特定の細胞系列に対する機能修飾に関する研究の現状を概観し, 今後の微量元素研究の新しい展開への好機と位置づけ, 第14回日本微量元素学会シンポジウム2において, 「骨髄由来細胞の機能調節と微量元素」が企画された.
ISSN:0916-717X