最近の話題53 (2020/11/10配信) 膵臓がん治療を目指したHsp70のコシャペロンBAG3に対するヒト化抗体の開発

BAG3 (BAG cochaperone 3) は, 熱ショックタンパク質Hsp70のコシャペロンであり, 細胞増殖促進やアポトーシス抑制等, さまざまな機能を有する. また, 数多くのがんで高発現し, がん研究領域において注目されているタンパク質の一つである. 以前に, ヒト膵臓がんの細胞質のBAG3の発現と死亡率との間に正の相関があることや, ヒト膵臓がんからBAG3が遊離され, 膵臓がん患者の末梢血清サンプルでそれが検出可能であることが報告された. このがんから遊離されるBAG3は, マクロファージの細胞膜上にあるインターフェロンで誘導される膜タンパク質IFITM2 (interfer...

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Veröffentlicht in:Thermal Medicine 2020-12, Vol.36 (4), p.103-105
1. Verfasser: 田渕圭章
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:BAG3 (BAG cochaperone 3) は, 熱ショックタンパク質Hsp70のコシャペロンであり, 細胞増殖促進やアポトーシス抑制等, さまざまな機能を有する. また, 数多くのがんで高発現し, がん研究領域において注目されているタンパク質の一つである. 以前に, ヒト膵臓がんの細胞質のBAG3の発現と死亡率との間に正の相関があることや, ヒト膵臓がんからBAG3が遊離され, 膵臓がん患者の末梢血清サンプルでそれが検出可能であることが報告された. このがんから遊離されるBAG3は, マクロファージの細胞膜上にあるインターフェロンで誘導される膜タンパク質IFITM2 (interferon induced transmembrane protein 2) と結合する. この刺激によりマクロファージは活性化し, IL-6が放出され, これが膵臓がんの増殖と転移を促進する. このパラクリンループが本がんの増殖に重要であることが示された.
ISSN:1882-2576