正常ヒト線維芽細胞における温熱ストレスに応答するヒートショックタンパク質Aファミリー分子の遺伝子発現解析

ヒートショックタンパク質A (HSPA) ファミリーは, 少なくとも13の異なる遺伝子からなる. 本研究において, 我々は正常ヒト線維芽 (NHF) 細胞のHSPAファミリー分子の遺伝子発現に対する温熱ストレスの効果を検討した. 4種類のNHF細胞Hs68, OUMS-36, NTI-4とKDに対して, 41°C のマイルドハイパーサーミア (MHT) または43°Cのハイパーサーミア (HT) をそれぞれ30分間負荷し, 続いて37°Cで1または24時間培養した. 細胞へのHTの負荷により有意に細胞死が誘導されたが, MHT負荷ではその誘導は観察されなかった. 定量的リアルタイムポリメラーゼ...

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Veröffentlicht in:Thermal Medicine 2012/12/20, Vol.28(4), pp.73-85
Hauptverfasser: 柚木, 達也, 刈谷, 文子, 近藤, 隆, 林, 篤志, 田渕, 圭章
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ヒートショックタンパク質A (HSPA) ファミリーは, 少なくとも13の異なる遺伝子からなる. 本研究において, 我々は正常ヒト線維芽 (NHF) 細胞のHSPAファミリー分子の遺伝子発現に対する温熱ストレスの効果を検討した. 4種類のNHF細胞Hs68, OUMS-36, NTI-4とKDに対して, 41°C のマイルドハイパーサーミア (MHT) または43°Cのハイパーサーミア (HT) をそれぞれ30分間負荷し, 続いて37°Cで1または24時間培養した. 細胞へのHTの負荷により有意に細胞死が誘導されたが, MHT負荷ではその誘導は観察されなかった. 定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いた検討により, MHTやHTを負荷した細胞において, HSPAファミリー遺伝子の中でHSPA1A, HSPA1B, HSPA1L, HSPA4, HSPA4L, HSPA5とHSPA6の遺伝子発現レベルが有意に上昇することが示され, これらの上昇はMHTよりもHT負荷でより顕著であった. なお, 今回初めて, 我々は温熱ストレスによるHSPA4遺伝子の発現上昇を検出した. また, これらの変化は4種類の全てのNHF細胞で同様に観察された. 一方, 他のHSPAファミリー遺伝子HSPA2, HSPA8, HSPA9, HSPA12A, HSPA13とHSPA14の遺伝子発現は, 温熱ストレスの影響を受けなかった. これらの結果から, HSPA1A, HSPA1B, HSPA1L, HSPA4, HSPA4L, HSPA5とHSPA6は温熱誘導型のHSPAファミリー遺伝子であり, 残りの遺伝子は, 構成型 (温熱非誘導型) HSPA遺伝子であることが示された. また, 37°Cの非ストレス条件下では, 誘導型遺伝子の発現よりも構成型遺伝子の発現が大部分を占めることを確認した. 今回我々は, 4種類のNHF細胞を用いて温熱ストレスに応答するHSPAファミリー分子の遺伝子発現パターンを明らかにした. これらの結果は, 正常細胞におけるMHTやHTの影響を分子レベルで理解するための重要な基礎情報になると考えられる.
ISSN:1882-2576
1882-3750
DOI:10.3191/thermalmed.28.73