13 Radio-hyperthermo-chemotherapyにより坐骨神経が温存できた右臀部悪性線維性組織球腫の1例

【目的】我々は, これまで四肢に発生した高悪性軟部肉腫に対する術前療法として放射線療法, 温熱療法, 化学療法の三者を併用したRadio-hyperthermo-chemotherapy(以下RHCと略す)を積極的に実施し, 良好な成績を得ている. 高悪性軟部肉腫のなかでも悪性線維性組織球腫(以下MFHと略す)と脂肪肉腫に対して特に有用である. 体幹部発生の高悪性軟部肉腫については, 温熱療法中の患者の姿勢の維持, 電極の設置が困難である例が多いことから, 限られた症例にのみRHCを実施してきた. 今回, 我々は右臀部に発生したMFHに対してRHCを実施し, 坐骨神経を温存できた1例を経験した...

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Veröffentlicht in:Thermal Medicine 2010, Vol.26 (3), p.168-169
Hauptverfasser: 山田聡, 松下廉, 服部一希, 大塚隆信, 多田豊曠
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】我々は, これまで四肢に発生した高悪性軟部肉腫に対する術前療法として放射線療法, 温熱療法, 化学療法の三者を併用したRadio-hyperthermo-chemotherapy(以下RHCと略す)を積極的に実施し, 良好な成績を得ている. 高悪性軟部肉腫のなかでも悪性線維性組織球腫(以下MFHと略す)と脂肪肉腫に対して特に有用である. 体幹部発生の高悪性軟部肉腫については, 温熱療法中の患者の姿勢の維持, 電極の設置が困難である例が多いことから, 限られた症例にのみRHCを実施してきた. 今回, 我々は右臀部に発生したMFHに対してRHCを実施し, 坐骨神経を温存できた1例を経験したので報告する. 【対象・方法】患者は49歳の男性である. 2003年11月に右殿部のしこりに気付き, その後急速に増大してきたため2004年1月に近医を受診し, MRIにて軟部腫瘍と診断されたため, 2004年2月に当科を初診した. MRIにて右臀部に16.5×12.3×8.9cmの造影MRIにて不均一に造影される巨大な腫瘍を認めた. 腫瘍は坐骨神経に近接していた. 切開生検の結果, MFHと診断されたため, インフォームドコンセントを得たのち, RHCにて治療を開始した. RHC:放射線療法は, 1日2Gy, 計16回, 計32Gy照射した. 化学療法は, CDDP 90mg/M, THP 25mg/Mを毎週交互に温熱治療時に動注し, 週に1度, 計4回実施した. 温熱治療は60分間実施し, 温熱療法の際の腫瘍内温度(以下TPと略す)は, TPが40-42.5℃未満であるmild hyperthermiaであった, その後IFM 2g/M5日間, VP16 100mg/M 3日間, THP 25mg/M 2日間の全身化学療法を実施したのちに, 腫瘍広範切除を実施した. 手術前のMRIにて腫瘍は, 15.4×12.7×8.0cmと腫瘍の縮RHCによる腫瘍の縮小はわずかであったが, 腫瘍内部の壊死範囲は増大しており, RHC有効と評価し坐骨神経を温存した. 術後は患者本人の希望もあり, 術後化学療法を実施しなかったが, 術後1年で左肺上葉に転移病変を認めたため, 術後化学療法を実施した. 5クールの化学療法を実施したのち, 胸腔鏡下肺上葉切除術を実施した. 現在, 左臀部の手術後約6年, 肺転移巣術後4年4ヵ月経過しているが, 再発, 転移なく術後経過良好である. 【結論】2007年のASCO meetingにてIsselsらは, 全身化学療法にregional hyperthermiaを加えることで, 手術不能のlocally advanced caseの予後を改善したと報告している. Isselsらの実施した化学療法はかなりわれわれのプロトコールと近いものであり, 自験例においても, これまで報告されてきたMFHの生存率よりもかなりよい成績が得られている. まだそのメカニズムは不明であるが, RHCにおいて温熱療法が化学療法の効果を増強し予後を改善している可能性が示唆される. これまで四肢発生例において良好な成績が得られてきたMFH, 脂肪肉腫に関しては, 体幹発生例であっても積極的にRHCにて治療していく予定である.
ISSN:1882-2576