3 樹状細胞を用いた温熱免疫療法の開発

[目的]本研究室では, 腫瘍を特異的に加温するためにMagnetite Cationic Liposome(MCL)を用いた磁場誘導型ハイパーサーミアの開発を行ってきた. MCLは, 磁性微粒子をカチオン性のリポソームで包むことで腫瘍組織に取り込まれ易くしたもので, これを腫瘍局所に注入し, 交番磁場を照射することで腫瘍特異的に加温することができる. 我々は, この治療において腫瘍に免疫担当細胞が集まることを観察し, 抗腫瘍免疫が誘導されていることを見出した. この抗腫瘍免疫において, 熱ショック蛋白質(HSP)が重要な役割を果たしていることを示し, 腫瘍特異的なハイパーサーミアはin sit...

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Veröffentlicht in:日本ハイパーサーミア学会誌 2004, Vol.20 (3), p.209-209
Hauptverfasser: 井藤彰, 田中功二, 小林猛, 本多裕之, 川村龍吉, 島田眞路, 松本和彦, 斎田俊明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]本研究室では, 腫瘍を特異的に加温するためにMagnetite Cationic Liposome(MCL)を用いた磁場誘導型ハイパーサーミアの開発を行ってきた. MCLは, 磁性微粒子をカチオン性のリポソームで包むことで腫瘍組織に取り込まれ易くしたもので, これを腫瘍局所に注入し, 交番磁場を照射することで腫瘍特異的に加温することができる. 我々は, この治療において腫瘍に免疫担当細胞が集まることを観察し, 抗腫瘍免疫が誘導されていることを見出した. この抗腫瘍免疫において, 熱ショック蛋白質(HSP)が重要な役割を果たしていることを示し, 腫瘍特異的なハイパーサーミアはin situの腫瘍ワクチン療法と見なせることを提案してきた. 本研究では, その役割を効果的に行わせるために専門的抗原提示細胞の中で最も提示作用の強い樹状細胞(DC)を温熱療法と組み合わせた. [方法]B16メラノーマを治療対象とし, 温熱治療後の腫瘍内に未熟DCを投与した. 治療効果は治療後の腫瘍径で評価した. また, 免疫細胞の活性について脾細胞を用いた細胞障害性活性測定を行った. [結果]温熱+DC治療によって10匹中6匹で腫瘍の完全退縮が見られた. また, 細胞障害活性の測定によりCTLとNK細胞の活性が高まっていて, これらがeffectorとして関与することが示唆された. [結語]腫瘍特異的なハイパーサーミアとDCの腫瘍局所投与の組み合わせによって, 強力な治療効果を得られた.
ISSN:0911-2529