全身ハイパーサーミアによる血管新生因子の抑制:末梢単球細胞でのVEGF発現について

【目的】腫瘍間質の細胞外マトリックスを破壊するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)や血管新生を誘発する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の異常な発現は, 癌浸潤や転移を促進させてしまう事が分かっている. 我々はガン細胞株を加温するとVEGFの発現が抑制される事を明らかにしている(Brit. J. Cancer 86, 1597-1603, 2002). 今回, 全身ハイパーサーミアの際, 容易に経過を評価できる末梢血中の単球細胞における同反応を検討した. 【対象, 方法】進行癌症例5名(肺腺ガン1, 胃ガン2, 悪性胸腺腫1, 頭頚部ガン1)と健常者2名に対して加温前, 終了直後, 終了2時...

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Veröffentlicht in:日本ハイパーサーミア学会誌 2003, Vol.19 (suppl), p.145-145
Hauptverfasser: 竹内晃, 岡村龍明, 佐藤隆, 伊東晃, 清水正雄, 飯島位夫, 横山正義, 板橋明, 竹内隆
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】腫瘍間質の細胞外マトリックスを破壊するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)や血管新生を誘発する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の異常な発現は, 癌浸潤や転移を促進させてしまう事が分かっている. 我々はガン細胞株を加温するとVEGFの発現が抑制される事を明らかにしている(Brit. J. Cancer 86, 1597-1603, 2002). 今回, 全身ハイパーサーミアの際, 容易に経過を評価できる末梢血中の単球細胞における同反応を検討した. 【対象, 方法】進行癌症例5名(肺腺ガン1, 胃ガン2, 悪性胸腺腫1, 頭頚部ガン1)と健常者2名に対して加温前, 終了直後, 終了2時間後の単球細胞のVEGFの発現をRT-PCR法で評価した. また癌症例においては, さらに3回の加温治療(Weekly計4回)後2週間の治療効果を評価し, その時点での血中VEGF値と治療前値を比較した. 治療はエンサーミクス社全身加温システムを用い, 同社の基準に基づいて直腸温41.5℃の加温を60分行った. 健常者加温は, ブラスト社周期制御装置でダイリン社全身加温カプセルを制御し, 周期加温により皮膚の熱刺激を軽減しつつ静脈麻酔を施行せず, 直腸温を39~39.5℃まで上昇させた. 【結果】5例中3例の癌症例の単球VEGF発現は高く, 加温後著明に抑制された. その内2例はCR(肺腺ガン), PR(胃ガン)を得, 血中VEGF値は正常域で推移, 又は著明に減少した. 逆に加温後にVEGF発現が増強された1例(胃ガン)は4回治療後の血中VEGF値も上昇しPDとなった. また健常者2例の単球VEGF発現も加温後に抑制された. 【結論】全身ハイパーサーミアにより単球細胞のVEGF発現が大きく変動した. その反応には個体差があり, 今回の検討例に限れば, VEGF産生が抑制される症例に限って良好な臨床効果が得られた. また健常人の正常単球細胞においても, 39℃程度の加温で同様の抑制反応が観察できる事が分かった.
ISSN:0911-2529