電気的特性の向上を目指した組織内加温用同軸スロットアンテナの構造改良

【要旨】組織内加温法は, 深在性腫瘍の治療に有効ながんの治療法である. 本治療法においては, 腫瘍部周辺の正常組織における過剰な加温を防ぐ目的により, アンテナより発生する加温領域がアンテナ先端部に集中していること, すなわち局所加温が望まれる. また, 十分な加温領域を確保するためには, アンテナの電気的特性が実用上問題のないレベルに達している必要がある. 本検討では, これまでの検討により局所加温が可能であることを示した組織内加温用同軸スロットアンテナに対し, 整合回路を装荷したアンテナを提案した. 本アンテナを用いることにより, 反射電力を低減させることを可能とし, その効果をFDTD法による計算機シミュレーションおよび実測の両面から確認した. さらに, 本アンテナの温度分布を算出した結果, 整合回路の装荷による局所加温特性への影響がないことを確認し, 不整合損の低下により加温領域が拡大することを示した.