臨床の立場から

ハイパーサーミアが悪性腫瘍の治療法として臨床に定着するための努力目標を6項目に大別して私見を述べる. 1. ハイパーサーミアの実態調査:衰退を続ける実態を調査しその対策を考えるために, また, 保健点数改正の資料として, 全国のアンケート調査を緊急に実施する. 2. 有効性の立証:2-1)第III相臨床試験は最も説得力がある. しかしわが国での完全実施はむずかしく, 問題が多い. 2-2)確立した学説と比較して有効性を立証する. 2-3)教材症例の提示:私どもが集録した進行性難治性悪性腫瘍38例の教材症例は, ハイパーサーミアの有効性を具体的に立証し, 臨床応用の現実に即した貴重な症例を提示し...

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Veröffentlicht in:日本ハイパーサーミア学会誌 2001, Vol.17 (suppl), p.51-51
1. Verfasser: 松田忠義
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ハイパーサーミアが悪性腫瘍の治療法として臨床に定着するための努力目標を6項目に大別して私見を述べる. 1. ハイパーサーミアの実態調査:衰退を続ける実態を調査しその対策を考えるために, また, 保健点数改正の資料として, 全国のアンケート調査を緊急に実施する. 2. 有効性の立証:2-1)第III相臨床試験は最も説得力がある. しかしわが国での完全実施はむずかしく, 問題が多い. 2-2)確立した学説と比較して有効性を立証する. 2-3)教材症例の提示:私どもが集録した進行性難治性悪性腫瘍38例の教材症例は, ハイパーサーミアの有効性を具体的に立証し, 臨床応用の現実に即した貴重な症例を提示している. 3. 啓蒙と宣伝:情報技術(IT)を活用し, 医師と医療技術者ならびに社会人を対象に啓蒙と宣伝活動を積極的に実施する. 4. 診療報酬の点数改正の要望:ハイパーサーミアの臨床応用の衰退は不採算性医療であることが大きな理由である. 学会活動の最も重要な課題として努力すべきであろう. 5. 学会活動のさらなる期待:衰退が著しい日本ハイパーサーミア学会に活力を取り戻すために一層の活躍を期待する. すなわち, 5-1)学会員の増強, 5-2)学問領域の拡大, 5-3)地方組織の拡充, 5-4)国際交流の拡充である. これらの案件はすでに学会活動に取り上げ, 第18回大会で実行している. 6. 臨床現場からの提言:20年間ハイパーサーミアの臨床に携わり, 学会活動に微力を尽くした. 多摩南部地域病院での8年間の経験を通じ, 1)放射線治療医師の増員, 2)放射線治療病床の増床, 3)診療各科との共診, 4)地域医療機関との連携, 5)高額医療機器の共同利用の促進などを実現した. そして, これらの事柄はハイパーサーミアを臨床に定着させる確実な道であると考える.
ISSN:0911-2529