「リポソームと関連試験法」について

「1. はじめに」リポソームとは, 生体膜成分であるリン脂質やコレステロール等から構成される脂質二分子膜の閉鎖微小胞である. 通常, 内部に水性画分を有しており, 水溶性薬物を内水相に, 疎水性薬物を脂質二分子膜に内包できる. さらに, 構成脂質の組成変更や表面修飾等を施すことで, リポソームの粒子径や表面電荷, 薬物放出特性, 体内/細胞内動態といった製剤特性を制御可能であることから, 薬物送達キャリアとしての開発が盛んに行われてきた. 表1には, これまでに本邦で承認されたリポソーム製剤の一覧を示している. いずれの製剤もリポソーム化することで, 有効成分の生体内安定性向上や標的部位への送...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:薬剤学 2022, Vol.82(4), pp.195-200
Hauptverfasser: 阿部, 康弘, 山本, 栄一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」リポソームとは, 生体膜成分であるリン脂質やコレステロール等から構成される脂質二分子膜の閉鎖微小胞である. 通常, 内部に水性画分を有しており, 水溶性薬物を内水相に, 疎水性薬物を脂質二分子膜に内包できる. さらに, 構成脂質の組成変更や表面修飾等を施すことで, リポソームの粒子径や表面電荷, 薬物放出特性, 体内/細胞内動態といった製剤特性を制御可能であることから, 薬物送達キャリアとしての開発が盛んに行われてきた. 表1には, これまでに本邦で承認されたリポソーム製剤の一覧を示している. いずれの製剤もリポソーム化することで, 有効成分の生体内安定性向上や標的部位への送達, 放出制御など薬物動態の改善を図ったものであり, 経肺投与型のアリケイス吸入液を除き, 残り5品目は全て投与経路が静脈内の注射剤である. 諸外国における上市品を見ても, 水性注射剤あるいは凍結乾燥注射剤としての開発が主流となっている.
ISSN:0372-7629
2188-3149
DOI:10.14843/jpstj.82.195