カニクイザルの経口吸収性の種差の検討

1. はじめに 医薬品の探索研究において, 化合物のヒト体内動態を精度良く予測することは非常に重要である. 前臨床試験でモデル動物を用いた薬効評価を行っても, 実験動物間で体内動態に種差が存在する場合にはヒトでの薬効の予測が困難であるため, 臨床試験への移行判断が難しくなる. また, 体内動態の種差が原因で臨床試験開始後, ドロップアウトする化合物も数多い. 従って, 前臨床段階でヒトの体内動態を出来るだけ精度良く予測し, 薬効と安全性を十分に確保することが, その後の医薬品開発の成功の鍵となる. ヒトの体内動態を予測する方法として, 種々の実験動物における吸収・分布・代謝・排泄に関するデータ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:薬剤学 2007, Vol.67(6), pp.404-406
1. Verfasser: 鷲尾, 卓生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:1. はじめに 医薬品の探索研究において, 化合物のヒト体内動態を精度良く予測することは非常に重要である. 前臨床試験でモデル動物を用いた薬効評価を行っても, 実験動物間で体内動態に種差が存在する場合にはヒトでの薬効の予測が困難であるため, 臨床試験への移行判断が難しくなる. また, 体内動態の種差が原因で臨床試験開始後, ドロップアウトする化合物も数多い. 従って, 前臨床段階でヒトの体内動態を出来るだけ精度良く予測し, 薬効と安全性を十分に確保することが, その後の医薬品開発の成功の鍵となる. ヒトの体内動態を予測する方法として, 種々の実験動物における吸収・分布・代謝・排泄に関するデータから, アロメトリック法を用いてスケールアップする手法がしばしば用いられる1). しかしながら, 各動物の生物学的利用率(BA, bioavailability)あるいは肝クリアランスに大きな種差が存在する場合は動物データからの直接的なヒト体内動態予測は非常に困難と考えられる2, 3). 近年, ヒト組織の入手が容易となり, 肝ミクロソームを用いたin vitroでの代謝実験データから, 生理学的モデルによって肝クリアランスを予測することが可能となり4), 肝臓での薬物代謝の種差に関しては, 各動物種の肝ミクロソーム等を用いてin vitro-in vivo correlation(IVIVC)を行えばある程度解明することができる.
ISSN:0372-7629
2188-3149
DOI:10.14843/jpstj.67.404