Ethenzamideの経皮吸収に及ぼすN-Methyl-2-Pyrrolidoneの効果

我々は, 既に帯状疱疹後神経痛, 慢性関節リウマチ痛などに対する局所での鎮痛を目的として, 非ステロイド性鎮痛剤(NSAIDs)の一つであるethenzamide(ETZ)を主薬とする軟膏を調製し, 臨床上の有用性を報告1)してきた. ETZは難溶性であるため, 本軟膏の調製には溶解性と経皮吸収性を増強する目的でN-methyl-2-pyrrolidone(NMP)が添加されている. 現在までにNMPは薬物の可溶化剤および吸収促進剤としての効果が報告2～7)されているが, ETZに対する吸収促進機構に関しては報告例をみていない. そこで, ETZの経皮吸収に及ぼすNMPの影響についてヘアレスラット皮膚およびヒト皮膚における検討を行い, 促進機構の解明を試みた. 実験の部 1. 試料および原料 軟膏の調製には, 主薬としてETZ(岩城製薬株式会社, 東京), 溶解剤としてNMP(関東化学株式会社, 東京), 軟膏基剤としてparaffin wax(日本精ろ株式会社, 東京), microcrystalline wax(日興リカ株式会社, 東京), isopropyl myristate(和光純薬工業株式会社, 大阪)を用いた.