リボフラビン酪酸エステルと乳糖との固相における分子間相互作用のスペクトル解析

酪酸リボフラビン(以下, RTBと略す)はリボフラビンのエステル化によって合成された脂溶性ビタミンB2誘導体の1つで, 第13改正日本薬局方外医薬品成分規格に収載されている高脂質血症の治療薬であり, また食品の着色添加物としてあるいは錠剤の着色剤としても多用されている1). 蛯谷はRTBの結晶化に際し, 澄赤色(RTB-A), カーキ色(RTB-B)及び黄色(RTB-C)の3種の結晶が生成すること, また, RTB-Cは再結晶溶媒としてのメタノールーH20の組成比を変えると色調の異なる結晶(RTB-C1, -C2および-C3)となることを見い出した. さらに, RTB-A, -Bおよび-Cにつ...

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Veröffentlicht in:薬剤学 1998-12, Vol.58 (4), p.179-185
Hauptverfasser: 田和理市a, 奥村茂樹b, 出口都一c, 藤原国雄b
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:酪酸リボフラビン(以下, RTBと略す)はリボフラビンのエステル化によって合成された脂溶性ビタミンB2誘導体の1つで, 第13改正日本薬局方外医薬品成分規格に収載されている高脂質血症の治療薬であり, また食品の着色添加物としてあるいは錠剤の着色剤としても多用されている1). 蛯谷はRTBの結晶化に際し, 澄赤色(RTB-A), カーキ色(RTB-B)及び黄色(RTB-C)の3種の結晶が生成すること, また, RTB-Cは再結晶溶媒としてのメタノールーH20の組成比を変えると色調の異なる結晶(RTB-C1, -C2および-C3)となることを見い出した. さらに, RTB-A, -Bおよび-Cについて固相における色調と結晶内における化学構造との関係を分光学的方法を用いて検討した2). その結果, RTBの結晶構造多形に見られる色調および外観の差異は, 固体内部でのRTB分子の配向あるいは会合形態の違いによることを明らかにし, 分子間の水素結合力や電荷移動力に原因があると考察した2,3). 乳糖は固形製剤における賦形剤あるいは結合剤として最も汎用されている添加剤である.
ISSN:0372-7629