溶解度積を用いた注射剤の輸液との配合性予測

水溶液での薬物の溶解度は生物学的利用能だけではなく製剤設計にも影響を及ぼす1,2). 水難溶性薬物の場合, 製剤にするには溶解度が低いことから, 溶解度を改善するために塩の形成3,4), プロドラッグ化5,6), 混合溶媒の使用7,8), 界面活性剤の使用9,10), 複合体の形成11~15)などの方法が取られている. 多くの薬物は有機の弱酸や弱塩基であり, 水溶性の向上を期待して塩が形成される. 近年も約60種類の塩が医薬品として使用されている3). たとえば, 抗マラリア薬であるα-(2-piperidyl)3,6-bis(trifluoromethyl)-9-phenanthrene m...

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Veröffentlicht in:薬剤学 1997, Vol.57(2), pp.102-108
Hauptverfasser: 倉本, 正嗣, 平石, 實, 中村, 康彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:水溶液での薬物の溶解度は生物学的利用能だけではなく製剤設計にも影響を及ぼす1,2). 水難溶性薬物の場合, 製剤にするには溶解度が低いことから, 溶解度を改善するために塩の形成3,4), プロドラッグ化5,6), 混合溶媒の使用7,8), 界面活性剤の使用9,10), 複合体の形成11~15)などの方法が取られている. 多くの薬物は有機の弱酸や弱塩基であり, 水溶性の向上を期待して塩が形成される. 近年も約60種類の塩が医薬品として使用されている3). たとえば, 抗マラリア薬であるα-(2-piperidyl)3,6-bis(trifluoromethyl)-9-phenanthrene methanolの水への溶解度は, 乳酸塩にすることによって塩基に対して約200倍増加する4). また, 両性化合物であるキノロン誘導体であるエノキサシン, スパフロキサシンなども塩酸塩やリン酸塩で溶解度が増加することが知られている. このような方法は, 水難溶性薬物の注射剤の製剤化にも適応される.
ISSN:0372-7629
2188-3149
DOI:10.14843/jpstj.57.102