著明なQOLの改善が得られた,遺伝性膵炎に対する自家膵島移植の本邦第1例
「I. 背景」疼痛コントロールが困難な慢性膵炎に対する膵全摘は, 術後に膵内分泌機能が完全に失われるという問題点も有しているが, 膵炎病巣を完全に除去できるという点で本疾患に対して合目的な術式である. しかしながら, 術後には, 膵内分泌機能が完全に失われるために膵性糖尿病が必発であり, Quality of life (QOL)の低下は免れない. 膵全摘に併施する自家膵島移植は, 膵全摘による疼痛コントロールを得ながら, 膵切除後の膵性糖尿病を緩和しうる治療法である. 今回, 若年に発症し急性膵炎症状を繰り返しながら慢性膵炎像へと移行する稀な疾患である遺伝性膵炎に対して, 膵全摘および自家膵...
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Veröffentlicht in: | 移植 2019, Vol.54(4-5), pp.217-222 |
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Hauptverfasser: | , , , , , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. 背景」疼痛コントロールが困難な慢性膵炎に対する膵全摘は, 術後に膵内分泌機能が完全に失われるという問題点も有しているが, 膵炎病巣を完全に除去できるという点で本疾患に対して合目的な術式である. しかしながら, 術後には, 膵内分泌機能が完全に失われるために膵性糖尿病が必発であり, Quality of life (QOL)の低下は免れない. 膵全摘に併施する自家膵島移植は, 膵全摘による疼痛コントロールを得ながら, 膵切除後の膵性糖尿病を緩和しうる治療法である. 今回, 若年に発症し急性膵炎症状を繰り返しながら慢性膵炎像へと移行する稀な疾患である遺伝性膵炎に対して, 膵全摘および自家膵島移植を行うことにより, 経口摂取が可能となり, 疼痛コントロールが得られ, 著明なQOLの改善が認められた本邦第1例の症例を経験したので報告する. 「II. 症例」症例: 30歳代, 女性. 原病歴: 5歳頃より食後の腹痛を認め, 検査にて膵炎と診断. その後も5~6回/年の頻度で膵炎と診断され, 入退院を繰り返していた. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.54.4-5_217 |