小児肝細胞移植の現況と展望

「I. 肝細胞移植とは」肝細胞移植は, 肝細胞の機能の一部が欠損した肝臓内に, 正常ヒト肝細胞を肝臓内に生着させ, 欠損した機能を補完する治療法である. 肝細胞移植の動物実験モデルで最初の報告例は1976年のGunnラット (Crigler-Najjar症候群1型のモデル動物 : UDPグルクロン酸転移酵素欠損) に対する同種異系の正常肝細胞移植で, 治療効果として血清ビリルビン値の低下を認めた. 臨床では1992年旭川医科大学の水戸廸郎教授が, 肝硬変患者の切除肝より肝細胞を分離し, 脾内に異所性自家移植を報告したのが世界初の肝細胞移植であるとされる. 以降, 欧米を中心に先天性代謝異常性肝...

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Veröffentlicht in:移植 2015/12/10, Vol.50(6), pp.605-612
Hauptverfasser: 重田, 孝信, 絵野沢, 伸, 野坂, 俊介, 中澤, 温子, 堀川, 玲子, 中村, 和昭, 福田, 晃也, 笠原, 群生
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 肝細胞移植とは」肝細胞移植は, 肝細胞の機能の一部が欠損した肝臓内に, 正常ヒト肝細胞を肝臓内に生着させ, 欠損した機能を補完する治療法である. 肝細胞移植の動物実験モデルで最初の報告例は1976年のGunnラット (Crigler-Najjar症候群1型のモデル動物 : UDPグルクロン酸転移酵素欠損) に対する同種異系の正常肝細胞移植で, 治療効果として血清ビリルビン値の低下を認めた. 臨床では1992年旭川医科大学の水戸廸郎教授が, 肝硬変患者の切除肝より肝細胞を分離し, 脾内に異所性自家移植を報告したのが世界初の肝細胞移植であるとされる. 以降, 欧米を中心に先天性代謝異常性肝疾患に対する部分的な機能補助 (酵素補充), あるいは急性肝不全に対する一時的機能補助を目的とした治療として肝細胞移植が施行されてきた. 肝細胞は脳死肝移植ドナーのうち, 脂肪肝などで臓器移植の適応除外となった肝臓より提供されたものが多く, この摘出肝をコラゲナーゼ灌流することにより単離されたものを移植用肝細胞としてきた.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.50.6_605