心臓移植とデスティネーションセラピー

「I. 緒言」人口の高齢化とともに先進国では心不全が最大の医療上の問題となっている. 米国の心不全患者数は現在約500万人で, 年間約5万人のペースで増加している. 日本における心不全も2002年の時点では推計約25万人であったが, 人口の高齢化とともに増加している. フラミンガム研究では, 心不全と診断された人々の10年間の死亡率は1970年代では80%以上, 治療が進んだ90年代でも70%と非常に高い. 日本の東北CHART研究でも5年生存率は約70%で, 心不全の内科治療予後は進行癌と同じくらい不良である. β遮断薬やACE阻害薬をはじめとする薬物治療や心臓再同期療法などを含む最大限の内...

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Veröffentlicht in:移植 2015/09/10, Vol.50(4-5), pp.394-404
1. Verfasser: 許, 俊鋭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」人口の高齢化とともに先進国では心不全が最大の医療上の問題となっている. 米国の心不全患者数は現在約500万人で, 年間約5万人のペースで増加している. 日本における心不全も2002年の時点では推計約25万人であったが, 人口の高齢化とともに増加している. フラミンガム研究では, 心不全と診断された人々の10年間の死亡率は1970年代では80%以上, 治療が進んだ90年代でも70%と非常に高い. 日本の東北CHART研究でも5年生存率は約70%で, 心不全の内科治療予後は進行癌と同じくらい不良である. β遮断薬やACE阻害薬をはじめとする薬物治療や心臓再同期療法などを含む最大限の内科治療で心不全が克服できなくなった重症心不全に対して心臓移植および人工心臓治療が究極の治療手段となる. 心臓移植や人工心臓治療は1960年代に始まり50年の歴史を持ち, 欧米では標準的な重症心不全治療の一環となっている.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.50.4-5_394