腎移植後4ヵ月で肺結核を発症した1例: リファンピシンと免疫抑制剤の併用についての薬学的考察
臓器移植患者にとって結核は発症リスクの高い疾患である. われわれは腎移植後, 肺結核を発症した症例を経験した. ミコフェノール酸モフェチル, タクロリムス(FK), プレドニゾロンを投与中の患者にリファンピシン(RFP)を併用したところ, FKのトラフ血中濃度は併用初日が8.5ng/mlであったのに対し, 14日後には3.2ng/mlに低下した. 投与量を2倍に増量しても血中濃度はさらに低下, 最終的に4倍に増量したが, 得られた血中濃度3.5ng/mlであった. 患者は拒絶反応をおこすことなく, 抗結核薬服用35日にて喀痰検査は陰性となった. 本症例はRFPの代謝酵素誘導によりFKの血中濃度...
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Veröffentlicht in: | 医療 2006/10/20, Vol.60(10), pp.652-657 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 臓器移植患者にとって結核は発症リスクの高い疾患である. われわれは腎移植後, 肺結核を発症した症例を経験した. ミコフェノール酸モフェチル, タクロリムス(FK), プレドニゾロンを投与中の患者にリファンピシン(RFP)を併用したところ, FKのトラフ血中濃度は併用初日が8.5ng/mlであったのに対し, 14日後には3.2ng/mlに低下した. 投与量を2倍に増量しても血中濃度はさらに低下, 最終的に4倍に増量したが, 得られた血中濃度3.5ng/mlであった. 患者は拒絶反応をおこすことなく, 抗結核薬服用35日にて喀痰検査は陰性となった. 本症例はRFPの代謝酵素誘導によりFKの血中濃度が著しく低下し, FKの増量が必要となった. 移植患者にRFPを投与すると, さまざまな免疫抑制剤の代謝に影響を与え, 投与量の調節が必要となる. 本症例は免疫抑制剤を継続しつつ, 抗結核薬を併用し, 良好な経過を得た. 臓器移植後の結核において, 拒絶を防ぎ, 結核を沈静化させる治療法は明らかでない. 今後もこのような症例を蓄積し, 医療の現場にその情報をフィードバックすることが重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.60.652 |