筋萎縮性側索硬化症患者の事前指示書: その有効性と問題点

当院では筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のための事前指示書「私の希望書」を作成し用いている. これは米国を中心に展開してきた法的拘束力を有する契約型の文書, いわゆる狭義の「事前指示書」ではなく, 医師・患者の信頼関係を基にしたコミュニケーションを補完する文書である. この文書をツールとして用いることでインフォームド・コンセントの改善が得られ, 病気の進行前に, 患者が病気と自分自身の関係について考える機会が得られる. また患者・家族を支える医療チームが形成される. 結果, 患者の意思を医療者全体で共有するというALS医療の課題の解決に近づける. ただし意思の不明確な方や高齢患者の利用にはさら...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医療 2006/10/20, Vol.60(10), pp.615-619
Hauptverfasser: 塩屋, 敬一, 斉田, 和子, 岸, 雅彦, 隈本, 健司, 板井, 孝壱郎, 外山, 博一, 中迫, 貴美子, 浅井, 篤
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:当院では筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のための事前指示書「私の希望書」を作成し用いている. これは米国を中心に展開してきた法的拘束力を有する契約型の文書, いわゆる狭義の「事前指示書」ではなく, 医師・患者の信頼関係を基にしたコミュニケーションを補完する文書である. この文書をツールとして用いることでインフォームド・コンセントの改善が得られ, 病気の進行前に, 患者が病気と自分自身の関係について考える機会が得られる. また患者・家族を支える医療チームが形成される. 結果, 患者の意思を医療者全体で共有するというALS医療の課題の解決に近づける. ただし意思の不明確な方や高齢患者の利用にはさらなる課題も多い. 実際の運用では文書だけを手渡しすることは厳禁で, 医療者と患者の間で読み合わせをしながらコミュニケーションを深めるよう留意するなどの使用上の注意がある. なお人工呼吸器装着後の取り外しの議論には参加していない.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.60.615