脊髄小脳変性症の失調症状と髄液生化学的パラメーターへの経頭蓋反復磁気刺激の影響

脊髄小脳変性症患者10名において失調の重症度, 小脳半球血流量, および髄液のascorbate free radical, superoxide dismutase蛋白, superoxide消去能, 8-hydroxy-2'-deoxyguanosine, noradrenaline, dopamine, homovanillic acid, 5-hydroxyindol acetic acidを8週間の経頭蓋反復磁気刺激(rTMS)の施行前後で比較した. 脊髄小脳変性症患者では19人の対照者に比べてascorbate free radical, 8-hydroxy-2'-deoxyguanosine, superoxide消去能が高値を示した. rTMS後の脊髄小脳変性症患者ではascorbate free radicalと失調の重症度が低下し, noradrenalineとdopamineが増加した. しかしrTMS後に失調の重症度が悪化した唯一の脊髄小脳変性症患者では, ascorbate free radicalが増加し, noradrenalineとdopamineが減少していた. したがって, rTMSの治療機序には酸化的ストレスの軽減とカテコラミンの増加が関与していると考えられる.