進行性核上性麻痺患者における嚥下障害の特徴と対策

進行性核上性麻痺(PSP)の嚥下障害の特徴は, 食塊形成不全, 喉頭侵入, および口腔通過時間・咽頭通過時間・総嚥下時間の延長, 嚥下反射の遅れである. また, 病初期には仮性球麻痺が中心だが, 進行にともない球麻痺が進行し誤嚥の頻度も高くなる. 食べ方の異常は, 口に溜めて止まってしまう, 反り返って食べる, 食べ物を吹き出すなどである. パーキンソン病(PD)との比較では, 咽頭送り込み時間が延長し, 頸部強剛の関与が示唆される. 両疾患ともに疾患の重症化につれて嚥下障害も重症となるが, PSPがより早期に重症化する. 誤嚥を示唆するむせ, 咳・痰, 3ヵ月以内の気道感染症, 湿声, 呻吟...

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Veröffentlicht in:医療 2005/09/20, Vol.59(9), pp.491-496
1. Verfasser: 市原, 典子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:進行性核上性麻痺(PSP)の嚥下障害の特徴は, 食塊形成不全, 喉頭侵入, および口腔通過時間・咽頭通過時間・総嚥下時間の延長, 嚥下反射の遅れである. また, 病初期には仮性球麻痺が中心だが, 進行にともない球麻痺が進行し誤嚥の頻度も高くなる. 食べ方の異常は, 口に溜めて止まってしまう, 反り返って食べる, 食べ物を吹き出すなどである. パーキンソン病(PD)との比較では, 咽頭送り込み時間が延長し, 頸部強剛の関与が示唆される. 両疾患ともに疾患の重症化につれて嚥下障害も重症となるが, PSPがより早期に重症化する. 誤嚥を示唆するむせ, 咳・痰, 3ヵ月以内の気道感染症, 湿声, 呻吟などの症状もPSPで多くみられる. 対策としては, 咽頭のアイスマッサージや増粘剤の使用, 食事前の嚥下体操, 頸部前屈などが有効で, 患者の食事場面を見守り, 声かけや体位の矯正をおこなうことも重要である.外科的な治療としては, 気管切開術に加えて気道食道分離術, 喉頭摘出術等がある.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.59.491