6.嚥下障害に対する喉頭気管分離術後の喉頭による発声の訓練

症例は. くも膜下出血(右MCA域)術後の60歳の女性で, 嚥下障害のため喉頭気管分離術施行. 術後, 通常ならばリリース手術を行うことなしには不可能なはずの発語が可能となり, その後徐々に発語量は増加した. 2002年5月初診時, 発声の持続時間は1秒程度で, 音声は概ね明瞭であったが, は行の声門摩擦音等の苦手な音もあった. 鼻咽頭ファイバーおよび透視により, 吻合部付近の食道に貯留する空気の, 喉頭からの流入, 排出による, 喉頭による発声と考えられた. 訓練は, 胸郭の動きにあわせておこる空気の流入, 排出を強化すべく, 呼吸筋群の強化訓練を行った. また喉頭周囲の過緊張, 過収縮が疑...

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Veröffentlicht in:医療 2005, Vol.59 (6), p.335-335
Hauptverfasser: 千葉 有, 永江順子, 日野 創, 山口 明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は. くも膜下出血(右MCA域)術後の60歳の女性で, 嚥下障害のため喉頭気管分離術施行. 術後, 通常ならばリリース手術を行うことなしには不可能なはずの発語が可能となり, その後徐々に発語量は増加した. 2002年5月初診時, 発声の持続時間は1秒程度で, 音声は概ね明瞭であったが, は行の声門摩擦音等の苦手な音もあった. 鼻咽頭ファイバーおよび透視により, 吻合部付近の食道に貯留する空気の, 喉頭からの流入, 排出による, 喉頭による発声と考えられた. 訓練は, 胸郭の動きにあわせておこる空気の流入, 排出を強化すべく, 呼吸筋群の強化訓練を行った. また喉頭周囲の過緊張, 過収縮が疑われたため, よりリラックスして発声する訓練と喉頭調節の訓練を行った. 結果, 同年9月には, 発声の持続時間も3秒程度に伸び, 声質も改善し, は行の声門摩擦音も発音可能となり, ピッチを変化させることも可能となった. 喉頭気管分離術術後にリリース手術を行うことなく喉頭発声を行い, その能力を拡大できる可能性がある.
ISSN:0021-1699