(1)開示の指針と国立病院療養所の現況について

診療録の価値, 法的な位置づけ 診療録の価値にっいては, 日常診療, 医学研究教育, 公衆衛生, 病院管理, 法律等があるとされているが, 最近では, 法律上の価値ということが, 患者の立場からも非常に重要なことととらえられるようになってきた. これらの価値や目的は, 最終的には患者の利益に反映されるとはいうものの, 実態として, 医療機関側にイニシアティブがあるということが当然とされてきた. その理由は, 法的な問題に加えて, 権利を争っても最終的には, 医療機関側に優先権があるという現状があるからである. 昭和61年東京高裁診療録閲覧請求事件判決, 「説明する義務を負うものの, そのものを...

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Veröffentlicht in:医療 2004/04/20, Vol.58(4), pp.223-225
1. Verfasser: 阿南, 誠
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:診療録の価値, 法的な位置づけ 診療録の価値にっいては, 日常診療, 医学研究教育, 公衆衛生, 病院管理, 法律等があるとされているが, 最近では, 法律上の価値ということが, 患者の立場からも非常に重要なことととらえられるようになってきた. これらの価値や目的は, 最終的には患者の利益に反映されるとはいうものの, 実態として, 医療機関側にイニシアティブがあるということが当然とされてきた. その理由は, 法的な問題に加えて, 権利を争っても最終的には, 医療機関側に優先権があるという現状があるからである. 昭和61年東京高裁診療録閲覧請求事件判決, 「説明する義務を負うものの, そのものを見せる必要は認めない」 ただし, 民法645条が示すように, 「受任者はいっでも報告する義務があり委任終了後はその顛末を速やかに報告する義務がある」という義務があることも事実である. また, 医師法第24条に定める診療記録に関する医師の義務と責任は非常に重く, そのために, 医師法33条の2として, 違反に対する罰則(罰金50万)の規定があることは, 国立医療機関の医療者だけではなく, ほとんど知られていないという現実がある.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.58.223