プリオン遺伝子コドン232変異を持つ痴呆患者の看護と在宅指導についての経験

クロイツフェルト・ヤコプ病(CJD)は感染性の神経疾患である. 在宅療養は痴呆などの症状と原因となるプリオン蛋白の感染性のため困難であると考えられてきた. 国立療養所の神経難病病棟はCJD患者の入院診療を行うと同時に必要あれば在宅指導をする政策的な役割がある. われわれは今回初めてCJD患者の在宅療養指導を経験した. 患者は62歳の男性で, パーキンソン症状, 失行, 痴呆症状のために入院した. 末梢血白血球のDNA検査でプリオン遺伝子はコドン232の変異を示し, 家族性CJDと臨床診断された. このケースは古典的CJDと比較して, 症状は比較的軽症で進行は緩徐であった. 本人と家族が在宅療養...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医療 2002/11/20, Vol.56(11), pp.664-667
Hauptverfasser: 袖山, 千恵子, 村松, 林子, 平野, 美鈴, ニノ, 宮正, 山岸, 恵美子, 山岸, とし江, 黒崎, みや子, 北沢, 真喜子, 小出, 隆司, 中島, 孝, 福原, 信義
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:クロイツフェルト・ヤコプ病(CJD)は感染性の神経疾患である. 在宅療養は痴呆などの症状と原因となるプリオン蛋白の感染性のため困難であると考えられてきた. 国立療養所の神経難病病棟はCJD患者の入院診療を行うと同時に必要あれば在宅指導をする政策的な役割がある. われわれは今回初めてCJD患者の在宅療養指導を経験した. 患者は62歳の男性で, パーキンソン症状, 失行, 痴呆症状のために入院した. 末梢血白血球のDNA検査でプリオン遺伝子はコドン232の変異を示し, 家族性CJDと臨床診断された. このケースは古典的CJDと比較して, 症状は比較的軽症で進行は緩徐であった. 本人と家族が在宅療養を希望したため, 院内のCJDマニュアルに従い, 家族に在宅指導し, 地域の福祉担当者と情報交換し在宅療養を成功させた. 初回の入院から, 2年2ヵ月後に死亡するまでの間に症状にあわせた在宅指導と家族のレスパイトケアを行うために合計3回, 通算88日間の入院診療を行った. CJDは感染性の神経難病だが症例によってはQOLの向上のために在宅療養も十分検討すべきである.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.56.664