国立病院における常染色体優性多発性嚢胞腎診療の実態についてのアンケート調査
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は日本における透析患者の約3%を占め透析導入原因疾患の第4位に位置する. 腎不全の原因疾患として重要な疾患である. しかし, ADPKDが腎に嚢胞ができて腎機能が悪化するだけではなく, 腎外病変をともなう遺伝性疾患であることは患者, 医療者ともに十分理解しておく必要がある. 今回, 日本におけるADPKDの診療状況について調査する目的で国立病院の全国ネットワーク性を活用してアンケート調査を試みた. アンケートは全国215の国立病院院長宛に送付し, 127病院より回答を得た. そのうち, 最近1年間にADPKDの患者を1人以上診療した病院は53病院で, その...
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Veröffentlicht in: | 医療 2002/09/20, Vol.56(9), pp.515-519 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は日本における透析患者の約3%を占め透析導入原因疾患の第4位に位置する. 腎不全の原因疾患として重要な疾患である. しかし, ADPKDが腎に嚢胞ができて腎機能が悪化するだけではなく, 腎外病変をともなう遺伝性疾患であることは患者, 医療者ともに十分理解しておく必要がある. 今回, 日本におけるADPKDの診療状況について調査する目的で国立病院の全国ネットワーク性を活用してアンケート調査を試みた. アンケートは全国215の国立病院院長宛に送付し, 127病院より回答を得た. そのうち, 最近1年間にADPKDの患者を1人以上診療した病院は53病院で, そのうち5-9人診療した病院は7病院. 10人以上診療した病院は4病院であった. この4病院の平均一般病床数は608.2床で全施設とも透析施設を備えていた. 53病院の主な回答担当科は泌尿器科25病院, 内科15病院, 小児科5病院, その他8病院であった. 腎外病変の告知は36病院67.9%で, 遺伝性疾患の告知は40病院75.5%が行っていた. しかし, 病院における担当科の決定(8病院)や多彩な病態のチェック用紙の作成(3病院)や患者への説明プリントの作成(2病院), また, 患者会やインターネットホームページの存在認知度(それぞれ, 8病院, 4病院)は低かった. ADPKDのような一病院では少数となってしまうが, 全国規模では少なくない疾患では国立病院のような全国ネットワーク性を利用した診療体制作りが重要と考える. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.56.515 |