3.Calpainopathy(LGMD2A)の臨床像-Becker型筋ジストロフィーとの比較

1995年, Richard1)により初めて常染色体劣性肢帯型筋ジストロフィー患者に, 骨格筋に特異的な蛋白分解酵素であるカルパイン3 2)の遺伝子異常のあることが報告された. 本病型は肢帯型筋ジストロフィーのうちLGMD2Aに分類されている. 我々はカルパイン3の遺伝子異常を見出したカルパイノパチー症例(4家系6症例, 55~64歳, 男性4例, 女性2例)(Fig.1)について, 日常診療で鑑別が難しいBecker型筋ジストロフィー症例(男性8症例, 41~65歳)と比較して, その臨床像の特徴を述べる. カルパイン3の遺伝子異常は, 家系1, 2ではG1080C, 家系3では1796in...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医療 2001, Vol.55 (3), p.144-147
Hauptverfasser: 足立克仁, 川井尚臣
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1995年, Richard1)により初めて常染色体劣性肢帯型筋ジストロフィー患者に, 骨格筋に特異的な蛋白分解酵素であるカルパイン3 2)の遺伝子異常のあることが報告された. 本病型は肢帯型筋ジストロフィーのうちLGMD2Aに分類されている. 我々はカルパイン3の遺伝子異常を見出したカルパイノパチー症例(4家系6症例, 55~64歳, 男性4例, 女性2例)(Fig.1)について, 日常診療で鑑別が難しいBecker型筋ジストロフィー症例(男性8症例, 41~65歳)と比較して, その臨床像の特徴を述べる. カルパイン3の遺伝子異常は, 家系1, 2ではG1080C, 家系3では1796insA, そして家系4ではCat-35of exon12である(詳細は文献3)参照). 自験のカルパィノパチー症例はいづれも四肢近位部に優位な筋萎縮を示し, Becker型にみられる腓腹筋の仮性肥大は明らかでなかった, Fig.2-Aには症例2-IV-6(58歳)の, Fig.2-BにはBecker型(41歳)の下肢筋CT像を示した. 両例とも下腿筋に比べ大腿筋に強い障害がみられた. カルパイノバチー症例はBecker型症例にみられる薄筋の肥大はなく, また, 腓腹筋に比ベヒラメ筋の障害が強くみられた. 筋障害の様式はBecker型では逆の関係であった.
ISSN:0021-1699