重症心身障害児を対象にした中鎖アシルCoA. 脱水素酵素(MCAD)欠損症の遺伝子変異985A→Gのスクリーニング

「要旨」当院で入院あるいは経過観察している重症心身障害児を対象に, 中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症の最も高頻度にみられる遺伝子変異(985A→G)をPCR法を用いてスクリーニングを行った. Reye症候群, 乳幼児突然死症候群など脂肪酸代謝障害が疑われる症例も検索した. その結果, 985A→G変異を持つhomozygoteあるいはheterozygoteの症例はまったく検出されなかった. これは, 欧米で行われている正常集団を対象とした遺伝子スクリーニングの結果と大きく異なっていた. この変異はアングロ・サクソンに発生しfounder effectによって広がったと考えられ, 日本人にはき...

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Veröffentlicht in:医療 1995, Vol.49 (9), p.741-745
Hauptverfasser: 長尾雅悦, 木林正弘, 長尾道子, 軽部幸治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」当院で入院あるいは経過観察している重症心身障害児を対象に, 中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症の最も高頻度にみられる遺伝子変異(985A→G)をPCR法を用いてスクリーニングを行った. Reye症候群, 乳幼児突然死症候群など脂肪酸代謝障害が疑われる症例も検索した. その結果, 985A→G変異を持つhomozygoteあるいはheterozygoteの症例はまったく検出されなかった. これは, 欧米で行われている正常集団を対象とした遺伝子スクリーニングの結果と大きく異なっていた. この変異はアングロ・サクソンに発生しfounder effectによって広がったと考えられ, 日本人にはきわめてまれである. しかし, 重症心身障害児では臨床症状が有機酸代謝異常症と類似し見逃されているケースがあるので, 今後も様々な疾患のスクリーニングが必要と考えられる.
ISSN:0021-1699