慢性浸出性心外膜炎を合併した拡張型心筋症の1例

「要旨」症例は, 41才男性. 25才のときより, 心拡大心電図異常を指摘されていたが, 自覚症状はなかつた. 入院時胸部写真でCTR78%, 心電図上I度のAVブロツク, 心室内伝導障害, 心エコー図で大量の心嚢水, タリウム心筋シンチグラムで前壁のタリウム欠損像がそれぞれ認められた. 心膜生検では, 非特異性活動性心膜炎であつた. 心臓カテーテル検査で左室拡張末期容積125ml/ml, 左室拡張末期圧24mmHg, 駆出分画30%と心機能低下が認められたが, 冠動脈狭窄はなかつた. 心筋生検では, 心筋の線維化が著しかつたが心筋炎の所見はなかつた. 以上より, 本症例は長期にわたる心筋心外...

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Veröffentlicht in:医療 1990, Vol.44 (4), p.403-406
Hauptverfasser: 高畠裕司, 平井忠和, 塩谷謙二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」症例は, 41才男性. 25才のときより, 心拡大心電図異常を指摘されていたが, 自覚症状はなかつた. 入院時胸部写真でCTR78%, 心電図上I度のAVブロツク, 心室内伝導障害, 心エコー図で大量の心嚢水, タリウム心筋シンチグラムで前壁のタリウム欠損像がそれぞれ認められた. 心膜生検では, 非特異性活動性心膜炎であつた. 心臓カテーテル検査で左室拡張末期容積125ml/ml, 左室拡張末期圧24mmHg, 駆出分画30%と心機能低下が認められたが, 冠動脈狭窄はなかつた. 心筋生検では, 心筋の線維化が著しかつたが心筋炎の所見はなかつた. 以上より, 本症例は長期にわたる心筋心外膜炎により, 心筋障害が進行し拡張型心筋症に移行したものと考えられた. 拡張型心筋症(DCM)は広範な心筋細胞の変性や線維化により, 心収縮性の低下や心内腔の拡張を来し, 多くの症例で重篤な心不全を生ずる疾患である1).
ISSN:0021-1699