胆管内のみに腫瘍発育を認めた胆道出血合併原発性肝癌の1剖検例

胆管内のみに腫瘍発育をみとめ, 胆道出血を来した原発性肝癌(HCC)の1剖検例を経験する機会を得たので報告する. 患者は59才, 男性, 会社員で, 会社の健診で肝機能障害を指摘され, 精査のために59年3月31日に入院. 入院時現症では, 黄疽と肝腫大をみとめた. また入院時検査上, 閉塞性黄疽の所見, GOT/GPT比の上昇, AFP値の上昇などをみた. PTCでは, 胆管内に4.5cm大の腫瘤が占居しており, この時点で根治手術は不可能と判断した. 4月14日吐血し, 意識の低下を来して死亡した. 剖検では, 胆管内に黒色塊をみとめ, その大部分は血腫であり, その中にHCCの細胞塊をみ...

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Veröffentlicht in:医療 1986/03/20, Vol.40(3), pp.261-264
Hauptverfasser: 三宅, 周, 川口, 憲二, 杉山, 明, 安原, 高士, 尾上, 公昭, 河野, 宏, 荒木, 文雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:胆管内のみに腫瘍発育をみとめ, 胆道出血を来した原発性肝癌(HCC)の1剖検例を経験する機会を得たので報告する. 患者は59才, 男性, 会社員で, 会社の健診で肝機能障害を指摘され, 精査のために59年3月31日に入院. 入院時現症では, 黄疽と肝腫大をみとめた. また入院時検査上, 閉塞性黄疽の所見, GOT/GPT比の上昇, AFP値の上昇などをみた. PTCでは, 胆管内に4.5cm大の腫瘤が占居しており, この時点で根治手術は不可能と判断した. 4月14日吐血し, 意識の低下を来して死亡した. 剖検では, 胆管内に黒色塊をみとめ, その大部分は血腫であり, その中にHCCの細胞塊をみた. しかし, 肝組織内にはHCCをを認めなかつた. 腫瘍浸潤により胆管閉塞を来したHCCは現在までに64例報告されているが, 胆道出血を主徴としたものは8例にとどまる. また, 肝組織内にHCCをみとめなかつた症例の報告は当症例が最初である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.40.261