胃潰瘍の経過追跡中発見された小胃癌の遡及的検討

前後11年間にわたり経過追跡中であつた再発再燃を繰り返す, 75才, 男性の胃潰瘍患者にIIc型早期胃癌が発見された. 過去の内視鏡フイルムを詳細に検討すると, 4年前まで遡及的に追求が可能で, 4年前は境界不鮮明な色合いのうすい異常発赤, 2年前では境界が鮮明で色合いの濃い異常発赤であつた. 1年前では小さな白苔と, 辺縁の一部に発赤を伴つた病変としてみられた. 4年前の境界不鮮明な異常発赤が本症例の初期像であつたと推定される. 当時は萎縮性変化に伴つてみられるびらんと解釈されて見逃されていた. 最近, 早期胃癌分類に記載されたような典型的早期胃癌に遭遇することは次第に少なくなり, 非典型的...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医療 1981/12/20, Vol.35(12), pp.1117-1120
Hauptverfasser: 野坂, 純一郎, 福井, 興, 植村, 富士男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:前後11年間にわたり経過追跡中であつた再発再燃を繰り返す, 75才, 男性の胃潰瘍患者にIIc型早期胃癌が発見された. 過去の内視鏡フイルムを詳細に検討すると, 4年前まで遡及的に追求が可能で, 4年前は境界不鮮明な色合いのうすい異常発赤, 2年前では境界が鮮明で色合いの濃い異常発赤であつた. 1年前では小さな白苔と, 辺縁の一部に発赤を伴つた病変としてみられた. 4年前の境界不鮮明な異常発赤が本症例の初期像であつたと推定される. 当時は萎縮性変化に伴つてみられるびらんと解釈されて見逃されていた. 最近, 早期胃癌分類に記載されたような典型的早期胃癌に遭遇することは次第に少なくなり, 非典型的な早期胃癌が数多く発見されつつあるが, いずれも明確な初期像を認識した上で診断されたものではないと思われる. 今後, 内視鏡的に明確な初期像を集積してゆく努力が要求される.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.35.1117