VPシャント腹腔側チューブによる腸穿孔の1例

「要旨」近年水頭症の冶療としてVAシャントに比べVPシャントが広く行われている. 著者らは65才, 女性の高血圧性小脳出血症例に施行したVPシャント術後に, 腹腔側チューブによる腸穿孔を来した1例を経験した. 腸穿孔の発生機序について検討すると, 第一は腹腔内にある異物は腸穿孔を生じ得るということであり, 第二にそのシャントチューブ先端の形も問題になる. しかし, 過去の報告例では確実な差はみられない. 第三には, シャントチューブ先端の位置が問題になる. チューブ先端が腸壁の一定部位を長時間圧迫すると腸壁の壊死を生じて腸穿孔を来す可能性がある. 第四には患者の年令, 全身状態が問題になるが,...

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Veröffentlicht in:医療 1980, Vol.34 (2), p.163-167
Hauptverfasser: 土屋寿司郎, 羽場勝彦, 木部佳紀, 西出啓一郎, 杉岡五郎, 渡辺騏七郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」近年水頭症の冶療としてVAシャントに比べVPシャントが広く行われている. 著者らは65才, 女性の高血圧性小脳出血症例に施行したVPシャント術後に, 腹腔側チューブによる腸穿孔を来した1例を経験した. 腸穿孔の発生機序について検討すると, 第一は腹腔内にある異物は腸穿孔を生じ得るということであり, 第二にそのシャントチューブ先端の形も問題になる. しかし, 過去の報告例では確実な差はみられない. 第三には, シャントチューブ先端の位置が問題になる. チューブ先端が腸壁の一定部位を長時間圧迫すると腸壁の壊死を生じて腸穿孔を来す可能性がある. 第四には患者の年令, 全身状態が問題になるが, 10代の若者にも腸穿孔例はあり, 全身状態のみに原因を求めるにはやや疑問が残る. 著者らは, チューブ先端が腸壁の一定部位を長時間圧迫すると腸壁の壊死が生じて腸穿孔を来すとするRubinの意見をもっとも支持したい. 近年, 先天性水頭症例やクモ膜下出血後の正常圧水頭症などに対して短絡手術がしばしば行われ, なかでも脳室腹腔短絡術(以後「VPシャント」と略す)は手術手技が容易なのと比較的合併症が少ない点から広く行われている.
ISSN:0021-1699