神経症状をともなつたCervical aortic archの1症例

文献上きわめてまれと思われたCervical aortic archの1例を報告した, 患者は37才の男, 右不全片麻痺と右に強い両側性の筋強剛及び振戦を有し, 胸骨上窩に4×4cmの拍動性腫瘤を認めた. まずSeldinger angiographyを行つたところ拍動性腫瘤は胸骨上窩に逸脱した高位の大動脈弓であることが判明した. また本例においては, 大動脈弓の最も心臓側の大動脈起始部で右総経動脈が, 次いで左外頸及び内頸動脈が総頸動脈を形成するこなく別個に直接大動脈弓より分岐し, 次に左鎖骨下動脈が, 大動脈弓の最も遠位側で下行大動脈に移行する部位で右鎖骨下動脈が分岐するという奇形を有して...

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Veröffentlicht in:医療 1978/07/20, Vol.32(7), pp.895-900
1. Verfasser: 難波, 真平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:文献上きわめてまれと思われたCervical aortic archの1例を報告した, 患者は37才の男, 右不全片麻痺と右に強い両側性の筋強剛及び振戦を有し, 胸骨上窩に4×4cmの拍動性腫瘤を認めた. まずSeldinger angiographyを行つたところ拍動性腫瘤は胸骨上窩に逸脱した高位の大動脈弓であることが判明した. また本例においては, 大動脈弓の最も心臓側の大動脈起始部で右総経動脈が, 次いで左外頸及び内頸動脈が総頸動脈を形成するこなく別個に直接大動脈弓より分岐し, 次に左鎖骨下動脈が, 大動脈弓の最も遠位側で下行大動脈に移行する部位で右鎖骨下動脈が分岐するという奇形を有していた. しかも左内頸動脈は頸部で著明に尖細りとなり, 内頸動脈の著明な形成不全があると考えられた. 本例は左内頸動脈の形成不全にもとつく神経学的異常所見を伴つたCervical aortic archの1例と考えられたが, 既報告例12例を参照し考察を加えた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.32.895