20数年来出血し続け(吐血, 喀血, 血尿), 麻薬中毒と なり, 主として精神療法により治癒した心身症の1例

「要旨」心身症とは「身体症状を主とするが, その診断や治療に心理的因子の配慮が特に重要な病態」とされている. 一方Munchhausen症候群といわれるものがあり, 一般臨床各科で, 医療者側をひどく悩まし, 各科, 各病院を転々として困惑させられるものとされている. 症例は約25年にわたり原因不明の出血をし続け, 吐血なのか喀血なのかわからぬ出血と, 血尿がみられ, また尿閉, 発熱, 腹痛, 咳嗽などもあり, 虫垂炎, イレウスを疑われ, 数回の開腹術や連日の導尿, 麻薬投与などで麻薬中毒となり, その麻薬脱患のために当国立千葉病院神経科に入院し, 既往歴調査から心因性の要素が発見され,...

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Veröffentlicht in:医療 1978, Vol.32 (5), p.636-643
Hauptverfasser: 西川喜作, 鹿島晴雄, 安井成美, 林左武郎, 大嶺繁二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」心身症とは「身体症状を主とするが, その診断や治療に心理的因子の配慮が特に重要な病態」とされている. 一方Munchhausen症候群といわれるものがあり, 一般臨床各科で, 医療者側をひどく悩まし, 各科, 各病院を転々として困惑させられるものとされている. 症例は約25年にわたり原因不明の出血をし続け, 吐血なのか喀血なのかわからぬ出血と, 血尿がみられ, また尿閉, 発熱, 腹痛, 咳嗽などもあり, 虫垂炎, イレウスを疑われ, 数回の開腹術や連日の導尿, 麻薬投与などで麻薬中毒となり, その麻薬脱患のために当国立千葉病院神経科に入院し, 既往歴調査から心因性の要素が発見され, 主として精神療法により軽快治癒した症例を経験した. 本例は症状の発生として心因性の要素が大であり, 心身症の1例と思われるが, VIP患者の側面もあり, 医原性疾患との関係ならびにMunchhausen症候群との関連などについて考察する.
ISSN:0021-1699