大腸リンパ濾胞増殖症についての検討

臨床的に大腸炎様症状を訴える症例において, 注腸X線検査や内視鏡検査で, 大腸粘膜に, リンパ濾胞の増大した状態と考えられる所見がとらえられることがある. これを大腸リンパ濾胞増殖症と呼称し, 自験の10例の検討を行つた. 症状は, 下痢, 下腹部痛, 粘血便などを訴え, 注腸X線検査では, 主として, 直腸, S状結腸部に直径2mm前後の円形の小透亮像が多発し, 内視鏡検査では, 大腸粘膜に円形の小隆起の多発を認める. 症例によつては, アフタ様病変の混在がみられる. 生検組織所見では, 粘膜固有層または粘膜下層に増大したリンパ濾胞が証明される. 症状は特別な加療を受けないで数ヵ月以内に消失...

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Veröffentlicht in:医療 1978/01/20, Vol.32(1), pp.95-101
Hauptverfasser: 水野, 滋, 松本, 恵一良, 野坂, 純一郎, 福井, 興, 吉川, 宣輝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:臨床的に大腸炎様症状を訴える症例において, 注腸X線検査や内視鏡検査で, 大腸粘膜に, リンパ濾胞の増大した状態と考えられる所見がとらえられることがある. これを大腸リンパ濾胞増殖症と呼称し, 自験の10例の検討を行つた. 症状は, 下痢, 下腹部痛, 粘血便などを訴え, 注腸X線検査では, 主として, 直腸, S状結腸部に直径2mm前後の円形の小透亮像が多発し, 内視鏡検査では, 大腸粘膜に円形の小隆起の多発を認める. 症例によつては, アフタ様病変の混在がみられる. 生検組織所見では, 粘膜固有層または粘膜下層に増大したリンパ濾胞が証明される. 症状は特別な加療を受けないで数ヵ月以内に消失する. 本症の原因は不明で, 疾患としていかなる位置を占めるかも明瞭でない. 本症と大腸の慢性炎症性疾患との関連性はないとされているが, 潰瘍性大腸炎の初期に本症と同様の所見を呈した症例も経験しているので, 慢性炎症性疾患との関連についても考察を加えた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.32.95