開心術中の大動脈遮断時及び遮断解除後の心筋代謝の検討: 主に電解質・血清酵素・血液ガス分析を中心に

心筋虚血時の心筋に関する検討は血行動態・組織学的・生化学的な面よりなされている. 今回, 我々は開心術中の大動脈遮断解除直後およびその後2分間隔に動脈血―冠静脈血同時採血を行い大動脈遮断時におこる心筋の生化学的変化について特に電解質・血清酵素・血液ガス分析の面より検討した. 対象とした症例は心房中隔欠損症15例, 僧帽弁狭窄症9例で全例大動脈遮断によるAnoxic arrest法を用い, MS群には心筋局所冷却法を併用した. 大動脈遮断解除直後のWashout sample値の比較ではASD群・MS群の冠静脈側にて有意の増加を示したものはK・P, GOT・LDHで, GPKはASD群のみ有意の...

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Veröffentlicht in:医療 1977/10/20, Vol.31(10), pp.1056-1065
Hauptverfasser: 石原, 茂樹, 山田, 学, 入山, 正, 安西, 信行
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:心筋虚血時の心筋に関する検討は血行動態・組織学的・生化学的な面よりなされている. 今回, 我々は開心術中の大動脈遮断解除直後およびその後2分間隔に動脈血―冠静脈血同時採血を行い大動脈遮断時におこる心筋の生化学的変化について特に電解質・血清酵素・血液ガス分析の面より検討した. 対象とした症例は心房中隔欠損症15例, 僧帽弁狭窄症9例で全例大動脈遮断によるAnoxic arrest法を用い, MS群には心筋局所冷却法を併用した. 大動脈遮断解除直後のWashout sample値の比較ではASD群・MS群の冠静脈側にて有意の増加を示したものはK・P, GOT・LDHで, GPKはASD群のみ有意の増加を示した. 時間的変動にてはASD群・MS群共に遮断解除後K・Pの心筋への摂取を認めるが, ASD群における摂取はMS群におけるそれよりも遅くなつている. また血清酵素の遊離パターンはASD群・MS群にて異なり, MS群にて冠静脈側値は2分後に動脈側の値に近づき心筋よりの酵素遊離の減少を示すが, ASD群にては, 6分後にても冠静脈側値と動脈側値は差があり, 酵素遊離の持続を示している. この理由は先天性心疾患群(ASD群), 後天性心疾患群(MS群)の心筋の違いによるものか, MS群の術中に施行した心筋局所冷却法によるものか不明である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.31.1056