成人にみられたイレウス症状を伴うBochdalekヘルニアの1治験例

患者は25才家婦で, 網脈絡膜萎縮のため全盲である. 主訴は, 腹痛, 嘔吐で7年前より時々イレウス症状を呈し, 種々の保存的治療を受けていた. 腹部所見にて, 腹部平坦で蠕動不穏なく, 左季肋部より左側腹部にかけて圧痛あるも筋性防御はなかつた. 検査所見で貧血, 白血球増多などの異常所見があつた. 胸部レ線写真では, 左横隔膜がガス貯留のため拡張せる結腸により挙上しているごとくみられ, 注腸透視にて結腸脾彎曲部が絞扼されループ状を形成していた. 開腹するに, 横隔膜左腰肋部に約2×3cmの裂孔があり結腸脾彎曲部が嵌入していた. 裂孔を鋭的に拡げ, 嵌入せる結腸を腹腔内にもどしえた. 我々は成...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医療 1975/10/20, Vol.29(10), pp.1038-1041
Hauptverfasser: 島崎, 安雄, 菅野, 理, 三木, 久嗣, 柏木, 豊, 脇坂, 賢一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:患者は25才家婦で, 網脈絡膜萎縮のため全盲である. 主訴は, 腹痛, 嘔吐で7年前より時々イレウス症状を呈し, 種々の保存的治療を受けていた. 腹部所見にて, 腹部平坦で蠕動不穏なく, 左季肋部より左側腹部にかけて圧痛あるも筋性防御はなかつた. 検査所見で貧血, 白血球増多などの異常所見があつた. 胸部レ線写真では, 左横隔膜がガス貯留のため拡張せる結腸により挙上しているごとくみられ, 注腸透視にて結腸脾彎曲部が絞扼されループ状を形成していた. 開腹するに, 横隔膜左腰肋部に約2×3cmの裂孔があり結腸脾彎曲部が嵌入していた. 裂孔を鋭的に拡げ, 嵌入せる結腸を腹腔内にもどしえた. 我々は成人のBochdalekヘルニアでイレウス症状を呈した症例を経験し治癒せしめえたので, 若干の考察を加え報告する.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.29.1038