ヒドラジツト中毒の1例: てんかん重積発作とせん妄状態となり, 痴呆を呈した症例
イソニコチン酸ヒドラジツト(INH)の副作用として, 中枢神経および末梢神経の障害があることが知られている. 1日量4~8mg/kg程度の服用では, 一般臓器や造血組織に大した毒性はなく, ただ時に中枢神経や自律神経系に軽度の症状, すなわち頭痛, 眩暈, 反射亢進, 口渇, 異常知覚, 便秘などが起るといわれていて, これも一過性だとされている. 1)2) 投薬量の多い時は副作用も強く, Kuschinsky3)は前述の副作用以外に, 不眠・意識障害があるとし, Heilmeyer4)は運動不安, 酩酊状態や多発神経炎を報告している. わが国においては, 動物実験や実験的な症例の報告はあつて...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 医療 1972/11/20, Vol.26(11), pp.1038-1041 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | イソニコチン酸ヒドラジツト(INH)の副作用として, 中枢神経および末梢神経の障害があることが知られている. 1日量4~8mg/kg程度の服用では, 一般臓器や造血組織に大した毒性はなく, ただ時に中枢神経や自律神経系に軽度の症状, すなわち頭痛, 眩暈, 反射亢進, 口渇, 異常知覚, 便秘などが起るといわれていて, これも一過性だとされている. 1)2) 投薬量の多い時は副作用も強く, Kuschinsky3)は前述の副作用以外に, 不眠・意識障害があるとし, Heilmeyer4)は運動不安, 酩酊状態や多発神経炎を報告している. わが国においては, 動物実験や実験的な症例の報告はあつても, ヒドラジツトによる重積発作や, 重症な精神症状を呈した症例はあまり報告されていない. 著者は肺および喉頭結核の患者で, その経過中にたまたまINH注射によつて, てんかん重積発作と意識障害を伴う激しい精神異常状態を呈し, その後, 性格変化と軽度の痴呆を呈した1例を経験したので, ここに報告する. |
---|---|
ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.26.1038 |