原発性胆嚢肉腫の1例

胆嚢原発の悪性腫瘍は比較的しばしば見られるが, その大部分は癌腫で, 肉腫の報告はきわめて少なく, 本邦においては現在までわずか14例を数えるに過ぎないようである1). 最近われわれは胆嚢原発のLeiomyogenic sarcomaの1例を経験したので報告する. 「症例」(患者):53才, 女, 家婦(家族歴):特記すべきことはない. (既往歴):19才と29才の時に肋膜炎と診断され, 医療をうけたことがある. (現病歴):約2ヵ月前より, 右上腹部に鈍痛ならびに圧痛があり, 食欲不振を訴え, 次第にるい痩してきたので某医を訪れたところ右季肋部の腫瘤を指摘され, 当科に送院された. なおこの...

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Veröffentlicht in:医療 1971/03/20, Vol.25(3), pp.195-198
Hauptverfasser: 館田, 朗, 善積, 正中, 平田, 一夫, 大原, 宏夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:胆嚢原発の悪性腫瘍は比較的しばしば見られるが, その大部分は癌腫で, 肉腫の報告はきわめて少なく, 本邦においては現在までわずか14例を数えるに過ぎないようである1). 最近われわれは胆嚢原発のLeiomyogenic sarcomaの1例を経験したので報告する. 「症例」(患者):53才, 女, 家婦(家族歴):特記すべきことはない. (既往歴):19才と29才の時に肋膜炎と診断され, 医療をうけたことがある. (現病歴):約2ヵ月前より, 右上腹部に鈍痛ならびに圧痛があり, 食欲不振を訴え, 次第にるい痩してきたので某医を訪れたところ右季肋部の腫瘤を指摘され, 当科に送院された. なおこの2ヵ月間に体重は約8kg減少した. (現症):体格中等度, 栄養不良, 皮膚は湿潤し, 頚部・腋窩にリンパ節の腫脹はなく, 眼球結膜および皮膚に黄疸は認められない. 聴打診上心肺に異常所見がなく, 体温36.5℃, 脈拍76, 血圧128-70mmHg. (腹部所見):平坦で蠕動亢進, 静脈怒張はなく, 腹壁は柔軟である. 右上腹部に鵞卵大, 弾性硬で移動性なく, 比較的輪廓明瞭な胆嚢と思われる腫瘤を触知し, 圧痛を認めた. 肝・腎・脾臓は触知しない. (臨床検査成績):軽度貧血と赤沈値の高度亢進があり, A/Gの逆転, 軽度の高K血症が認められた. 肝機能は正常で, 凝血検査上軽度の障害があり, 糞便潜血反応陽性, 尿中ウロビリノーゲン陽性で, 尿沈渣に異常所見が認められた(表1, 2).
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.25.195