注射薬の経日変化について(第1報)
一般に医薬品は乾燥状態におけるよりも, 湿潤ないし溶液の状態における方が変化を起しやすいために注射薬など溶液の状態で使用される薬品は, その調製に当つて安定化のための種々の配慮がなされている. 近時化学反応速度論的手法が, これら液剤の調製に導入され多くの人々によつて種々の薬剤の安定化が試みられるに至つた. 1)~6)すなわち, 溶液のpHの調節, 緩衝液の選択, イオン強度の変化, Complexの形成など反応速度を遅延させようとする種々の手段がとられているわけである. しかしながら一方において古くから温度, 光, 酸素, 微量金属などの混入が反応速度を促進することが知られており, それ故に...
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Veröffentlicht in: | 医療 1969, Vol.23 (9), p.1166-1170 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 一般に医薬品は乾燥状態におけるよりも, 湿潤ないし溶液の状態における方が変化を起しやすいために注射薬など溶液の状態で使用される薬品は, その調製に当つて安定化のための種々の配慮がなされている. 近時化学反応速度論的手法が, これら液剤の調製に導入され多くの人々によつて種々の薬剤の安定化が試みられるに至つた. 1)~6)すなわち, 溶液のpHの調節, 緩衝液の選択, イオン強度の変化, Complexの形成など反応速度を遅延させようとする種々の手段がとられているわけである. しかしながら一方において古くから温度, 光, 酸素, 微量金属などの混入が反応速度を促進することが知られており, それ故に注射薬の経時変化は避けがたいものとされている. 一般的には温度10℃の上昇によつて反応速度は2~3倍に促進されるといわれており, 高圧滅菌に堪える製品は通常の熱帯性温度で18カ月は安定であると称せられている. さらに最近では, 光曝量と化学反応速度との関連も研究されてきている. もちろん, 抗生物質製剤, 生物学的製剤, ある種のホルモン製剤, および酵素製剤など短時日に変質する薬剤については大部分有効期限が定められているが, その他の大多数の薬剤については有効期限の定めがない. われわれはこれら有効期限の定めがない薬剤の経時変化を追求したいと考えたので, とりあえず基礎的実験として光や熱に影響されやすいと考えられている二, 三の薬剤を選び, それらの溶液ないし注射液に対して加温および紫外線照射を行ない, それぞれについての加虐前後における薬品の純度を薄層クロマトグラフイー(以下「TLC」と略称する)を用いて分析することによつて, 経時変化を推定するための検討を行なつた. ここに若干の知見を得たので取りまとめて報告する. |
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ISSN: | 0021-1699 |