幹細胞からみた炎症性腸疾患の病態と治療

炎症性腸疾患は消化管に原因不明の慢性炎症をきたす一方,同時に粘膜組織などの破壊・機能欠損が生じる.このため,治療の過程では破壊・損傷した粘膜組織を再生・修復し,正常な機能を回復することが重要であり,「粘膜治癒」を目標に掲げるT2Tの考え方に通じている.組織の再生・治癒の過程では当該組織に内在する幹細胞の機能が極めて重要な役割を果たす.このような観点から,炎症性腸疾患においても造血幹細胞・間葉系幹細胞に加え,腸上皮幹細胞を利用した治療法の開発が検討されてきた.本稿では,いわゆる再生医療の考え方で用いることが可能となっている治療,開発の途上にある治療について,病態との関わりを辿りながら展望する....

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 2023/07/10, Vol.120(7), pp.562-570
Hauptverfasser: 岡本, 隆一, 水谷, 知裕, 清水, 寛路
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:炎症性腸疾患は消化管に原因不明の慢性炎症をきたす一方,同時に粘膜組織などの破壊・機能欠損が生じる.このため,治療の過程では破壊・損傷した粘膜組織を再生・修復し,正常な機能を回復することが重要であり,「粘膜治癒」を目標に掲げるT2Tの考え方に通じている.組織の再生・治癒の過程では当該組織に内在する幹細胞の機能が極めて重要な役割を果たす.このような観点から,炎症性腸疾患においても造血幹細胞・間葉系幹細胞に加え,腸上皮幹細胞を利用した治療法の開発が検討されてきた.本稿では,いわゆる再生医療の考え方で用いることが可能となっている治療,開発の途上にある治療について,病態との関わりを辿りながら展望する.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi.120.562