肝癌ゲノムとゲノム医療への展開

肝癌は,本邦をはじめとした東アジアで多い癌の1つである.大規模かつ包括的なゲノム解読によって肝癌はTERT+TP53+WNT経路異常をコアドライバーとして,キナーゼ経路異常やクロマチン制御分子などのエピゲノム関連異常が加わるといった分子遺伝学的特徴を有することが明らかとなった.コアドライバーは早期肝癌においてすでに異常がおこっており,腫瘍内多様性や再発病変ではあまり変化しない.また分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤に対する治療反応性と関連するゲノム異常も明らかにされ,liquid biopsyによる早期診断やドライバー異常による治療層別化など,肝癌のゲノム医療が進むことが期待される....

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 2021/05/10, Vol.118(5), pp.428-436
1. Verfasser: 柴田, 龍弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:肝癌は,本邦をはじめとした東アジアで多い癌の1つである.大規模かつ包括的なゲノム解読によって肝癌はTERT+TP53+WNT経路異常をコアドライバーとして,キナーゼ経路異常やクロマチン制御分子などのエピゲノム関連異常が加わるといった分子遺伝学的特徴を有することが明らかとなった.コアドライバーは早期肝癌においてすでに異常がおこっており,腫瘍内多様性や再発病変ではあまり変化しない.また分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤に対する治療反応性と関連するゲノム異常も明らかにされ,liquid biopsyによる早期診断やドライバー異常による治療層別化など,肝癌のゲノム医療が進むことが期待される.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi.118.428