肝転移の病理

肝臓は多様な悪性腫瘍の転移臓器となりうることから,肝腫瘍の病理診断においては常に転移性肝腫瘍の可能性を考慮する必要がある.腫瘍の形態学的特徴と免疫染色の組み合わせによって原発部位の同定が可能となる場合もあるが,原発性か転移性か鑑別が難しい症例もある.近年,消化器癌に対する治療薬の進歩には目覚ましいものがある.化学療法により手術が可能となるコンバージョンが増え,症例によっては治癒も期待できるようになってきている.化学療法による腫瘍細胞の形態変化,治療効果として観察される組織学的特徴も徐々に明らかになってきた一方で,化学療法によって生じる肝障害も少なからず経験される.本稿では,転移性肝腫瘍の組織学...

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 2019/09/10, Vol.116(9), pp.697-701
1. Verfasser: 相島, 慎一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:肝臓は多様な悪性腫瘍の転移臓器となりうることから,肝腫瘍の病理診断においては常に転移性肝腫瘍の可能性を考慮する必要がある.腫瘍の形態学的特徴と免疫染色の組み合わせによって原発部位の同定が可能となる場合もあるが,原発性か転移性か鑑別が難しい症例もある.近年,消化器癌に対する治療薬の進歩には目覚ましいものがある.化学療法により手術が可能となるコンバージョンが増え,症例によっては治癒も期待できるようになってきている.化学療法による腫瘍細胞の形態変化,治療効果として観察される組織学的特徴も徐々に明らかになってきた一方で,化学療法によって生じる肝障害も少なからず経験される.本稿では,転移性肝腫瘍の組織学的特徴,特に診断する頻度が多い大腸癌肝転移の組織像,化学療法誘導性の肝障害について概説する.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi.116.697