腸内細菌と過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)とは,腹痛・腹部不快感に代表される内臓知覚過敏と下痢,便秘,あるいは両者が混合した便通異常が持続する状態である.本稿においては,腸内細菌がどのようにIBSの発症,病態,診断,治療に関わるかを述べる.IBSにおける腸内細菌の役割は,感染性腸炎後の発症,感染性腸炎後IBSの遺伝子多型分析,ストレスによる細菌叢の変化,粘膜透過性亢進へと解明が進んでいる.また,IBSにおける腸内細菌異常増殖,腸内細菌の特徴とその産物の役割が検討されている.腸内細菌の役割は治療研究においても証明され,脳腸相関を介して生体を変化させる.IBSと腸内...

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 2015/11/05, Vol.112(11), pp.1956-1965
1. Verfasser: 福土, 審
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)とは,腹痛・腹部不快感に代表される内臓知覚過敏と下痢,便秘,あるいは両者が混合した便通異常が持続する状態である.本稿においては,腸内細菌がどのようにIBSの発症,病態,診断,治療に関わるかを述べる.IBSにおける腸内細菌の役割は,感染性腸炎後の発症,感染性腸炎後IBSの遺伝子多型分析,ストレスによる細菌叢の変化,粘膜透過性亢進へと解明が進んでいる.また,IBSにおける腸内細菌異常増殖,腸内細菌の特徴とその産物の役割が検討されている.腸内細菌の役割は治療研究においても証明され,脳腸相関を介して生体を変化させる.IBSと腸内細菌の関係を証明する報告は増加しており,それがIBS診療に大いに役立つことが期待される.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi.112.1956